「農民」記事データベース20001030-468-18

'30年代のアメリカ農民描く

劇団昴「怒りの葡萄」


 ジョン・スタインベックの名作『怒りの葡萄』が、劇団昴によって東京で上演されます。

 土地を失ったオクラホマの貧農家族の悲劇的な運命を描いた一大叙事詩といえます。この作品には二つのタイプの人間像がいきいきと描きだされています。一方は地主や警官に代表されるような権力者、もう一方は圧迫を受ける側の農民たちです。

 一九三〇年代のアメリカはオクラホマ。砂嵐が吹き荒れ、耕地は一夜にして荒野と化してしまいます。血と汗で開墾した土地を天災と資本家に追われた農民たちは、希望の地カリフォルニアをめざします。物語は、この一行の中にいるジォード一家を通して描かれていきます。二千マイルの行程を、毛布と炊事道具を積んだ半壊のトラックが進んでいくのです。しかし、たどりついたカリフォルニアには、すでに土地を追われた二十五万人もの浮浪農民が各地から集まっていました。百万エーカーを所有する一人の地主のために、十万人の農民が飢えるとき、カリフォルニアの沃野に“怒りの葡萄”が実を結んでいきます。

 ジォード一家を支える母親を演じる久保田民絵さんは「原作を読んで感動しました。エネルギーに満ちた母性の持ち主、ジォード家のお母さんにひきつけられ、実はひそかに配役されることを望んでいたんです。でも、望んだ役に配役されたときは、うれしい反面、プレッシャーもとても大きいんです。いまは演出家にお任せしてベストを尽くすのみと思っています」といいます。

 フランク・ギャラーティ脚色、沼澤洽治訳、ジョン・ディロン演出。出演はほかに宮本充、西本裕行、石波義人ら。

(A)

*10月17日から11月8日まで(月曜・休演)、東京・文京区の三百人劇場(地下鉄・都営三田線千石駅徒歩1分)。連絡先=劇団昴・三百人劇場、電話03―3944―5451

(新聞「農民」2000.10.30付)
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2000年10月

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