“儲け優先”体質に批判続出雪印食中毒事件考えるシンポ開く
「O-157の事件以来、毎年食中毒の問題があり、原因が解明されない限り、同じような問題が続くと思います」 「“日本人の食が危ない”という思いと同時に、食品工場を含めて労働者の権利を守る大きな潮流を作っていく必要がある。地域に持ち帰り、波を起こしたい」 「戦後アメリカが供与した脱脂粉乳は学校給食に利用され評判が悪く、やがて乳業メーカーにより加工乳として使用されるようになった。アメリカに胃袋を支配されている状況が、雪印事件の遠因になっている」(参加者の感想より) 「雪印食中毒事件はなぜ起きたか―食の安全を考える」シンポジウムが十月七日、東京・損保会館で開かれました。パネラーは、全国消費者団体連絡会の日和佐信子事務局長、北海道幌延町の酪農家・鷲見悟さん、雪印乳業東京工場に働く脇寿男さん、都職労公衆衛生部会長の笹井勉さん、農民連の小林節夫代表常任委員、全労連の熊谷金道副議長の六氏。 それぞれの立場から事件の本質に迫るパネラーと二百二十人を超える参加者が一緒に、「食の安全を守る方向性を見出すために」語り合い、そのなかで企業の安全無視の体質を現場から告発していく労働運動の役割が大きくクローズアップされました。 日和佐氏は、「企業の体質を変えていくことが必要だ」と提起。脇氏は、事件の背景に雪印のしゃにむにコスト削減を目指す企業戦略があったことを指摘。鷲見氏は乳質を厳しく管理している酪農一家の立場から雪印、国に対する怒りをぶつけました。 笹井氏は監視の目を行き届かなくさせている行政の人員削減を告発。小林氏は急増する農産物輸入の実態とそれに狂奔する大商社のもうけ主義について語り、熊谷氏は「企業のモラルハザードの背景には、リストラ合理化がある」と述べました。 同シンポジウムを主催した実行委員会には、雪印と並ぶ乳業メーカー・明治乳業の組合活動を理由にした賃金差別に対してたたかっている明治乳業争議団も参加。加賀谷武喜団長はフロアーから、「雪印と同じ実態が明治でもある」として、脱脂粉乳を使った“まがいもの牛乳”で儲ける会社を告発しました。 また会場のロビーでは、福島市の酪農家の佐々木健三さんが作った低温殺菌牛乳、信州市田酪農のヨーグルトと、市販の加工乳の「飲み比べ」も実施しました。
(新聞「農民」2000.10.30付)
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[2000年10月]
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