遺伝子組み換え大豆 安全確認に疑義「替え玉」使って実験消費者団体などが記者会見
日本では現在、厚生省が二十九品目の遺伝子組み換え食品、農水省が三十二品目の組み換え飼料の安全性を確認したとして流通を認めています。
「生育障害」隠すモンサント社申請書ところが開発企業が厚生省に提出した申請書の原本を調べると、遺伝子組み換え大豆を与えたラットに「生育障害が起きていた」のに、一般の大豆を与えたものと「差がない」と事実をごまかしたり、実験で使われた遺伝子産物も実物でなく、替え玉が使われるなど安全性確認に重大な問題と疑義があることが明らかになりました。これは名古屋大学理学部生命理学科の河田昌東助手と中部よつ葉会、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンなどの市民組織が「日本食品衛生協会」が管理している膨大な英文資料を延べ四十人が参加、筆写して明らかになったもの。 今回、取り上げたのは世界で最も大量に生産され、流通し、日本でも四年前に初めて遺伝子組み換え食品として輸入を認可したモンサント社の除草剤耐性大豆の安全性の確認です。 申請書を分析して記者会見した河田氏は、その問題点を次のように指摘しています。 (1)ラットの飼育試験(四週間)では、生大豆は組み換え、非組み換えとも体重増加量に差がなかった。しかし加熱加工した組み換え大豆を与えた「雄ラットに生育障害がある」ことが記載されながら、試験結果のまとめでは、「有意差(違い)がない」と強弁し、データを歪曲している。 (2)ラットに直接投与した除草剤耐性遺伝子産物(蛋白質)は、ラウンドアップ・レディ大豆から直接取ったものでなく、大腸菌で合成した「替え玉」が使われるなど、安全性確認の信頼性に欠けている。 (3)除草剤耐性遺伝子が生み出す蛋白には、四百五十五個のアミノ酸があるが、分析したのは十五個に過ぎず、アレルギー実験は行われていなかった。 (4)すべての実験に使われた大豆は、除草剤ラウンドアップを使用しないで栽培されたものだった。これでは現実に流通する除草剤耐性大豆とは異なる。
安全性の審査のやり直しを要求こうした遺伝子組み換え食品の安全確認のやりかたについて、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン(天笠啓佑代表)では、厚生大臣に、(1)申請書をすべて公開し、コピー等を認め、だれでもが安全性のチェックが出来るようにすること(2)安全性の実験は、開発企業任せでなく国自らが行うこと(3)モンサント社の除草剤耐性大豆は、安全性審査をやり直し、その期間中は輸入・販売を中止すること(4)遺伝子組み換えイネの輸入・作付け・販売はしないこ(新聞「農民」2000.10.2付)
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[2000年10月]
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