「農民」記事データベース20001002-465-05

研究交流集会での特別報告

成果あげた固定資産税下げるたたかいさらに

常任委員 山口和男


 昨年の全国研究交流集会が開かれた時に、固定資産税の基準年度評価換えに取り組もうと呼びかけて以来、この一年ほど運動が広がり、予想もしなかった三年前の取り組みに比べると、数倍に広がりました。

ズサンな土地評価が浮き彫りに

 なぜ、広がったか。これは法則にかなっているからです。都市では一九九〇年代に入ってから、「地価が下がったのに固定資産税が上がっているのは納得できない」と各地で裁判を行いました。それがもとになって都市の固定資産税は下がりました。農業関係でもその頃から裁判を起こし、静岡県の農家が調整区域の制限があるところで農業用施設を建てたときに税金を宅地と同じに掛けるのは間違いだと裁判し、東京高裁で勝利の判決が出されました。

 判決が出た後に、固定資産税の取り組みが全国で本格的に始まりました。この中で土地の評価が三年前とまったく同じというズサンさや、いいかげんな審査などが浮き彫りになり、多くの地域で税金を引き下げるという成果をあげました。

 この成果に対して、自治省は固定資産税を引き下げないようにと次々に事務連絡や通達を出してきました。それらの資料をよく読んでみたらびっくりしました。自治省の担当者は「不況の中だから固定資産税が上がるのはおかしいではないか」という設問を自ら設け、「農地が宅地になったから固定資産税が上がった。もともと固定資産税が減ることはあってはならない。固定資産税は政策的な税金ではない」と書いています。ところが、別の項では、「農地は政策的に特別に重くしてあるのもある」と記しています。固定資産税については、増税を一貫して追求しようとしています。

 こうした状況の中で、三年に一度の運動でよいのかどうかという問題です。

増税食い止め減税を実現しよう

 今日、増税の地域として目立つようになってきたのは、三大都市圏の特定市街化区域用地に加えて、その他の一般市街化区域農地です。一般市街化区域農地は、課税上は農地扱いですが、評価が宅地扱いのため、ほとんどが毎年一〇%の増税となっています。たとえば和歌山市で十アール当たり六万円、松山市で七万円という、途方もない高額の固定資産税を取られています。

 重要なことは、小作地の問題です。小作地には標準小作料が決められていますが、和歌山市では小作料を上回る固定資産税を減免しています。標準小作料を上回る税金の減免を勝ちとり、さらに一般市街化区域農地に減免を広げていく運動を進めることが大切です。

 また、引き続き農業用地の農地比準評価をめぐるたたかいを重視することです。自治省は、農業施設用地の適用区域を狭めようと連絡文書を繰り返し出していますが、これに抗議していくことが重要です。

 さらに今年四月から審査申出の制度が変わり、照会制度が新しく設けられました。私たちが審査申出をし、「この資料がほしい」と請求すれば、法律で市町村長は出さなければいけない制度で、運動に活用できます。

 私たちは重税を食いとめる取り組みをいろいろやってきました。しかし、「税金を下げろ」「固定資産税を下げろ」という全国で統一した取り組みは、初めての試みだと思います。知恵を出し、創意工夫して、運動をさらに広げましょう。

(新聞「農民」2000.10.2付)
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2000年10月

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