高知・須崎「学習大会」農業危機打開へ地域ぐるみ各界から450人出席「セーフガードを発動させ、園芸・野菜作の存亡の危機を打開しよう」――園芸王国・高知で、農協、農業委員会、農民組合、さらに自治体が共同した地域ぐるみ、県民ぐるみの運動がスタートしました。
事実をあげた訴えに確かな共感九月十八日夜「農業危機打開学習大会」が開かれた「JA土佐くろしお」三階ホールは、若い人からお年寄りまで四百五十人を超える農民と農協職員、市民で超満員。来賓席には須崎市長・助役ら市四役、地元選出二県議、市議がズラリ。大会を主催したのは同JAと管内の須崎市・中土佐町・葉山村各農業委員会、須崎農民組合。講師は真嶋良孝農民連事務局次長。党派を超えた取り組みという点では様々な経験を持つ高知県ですが、こういう取り合わせは異例といいます。 「農作業の真っ最中なのに、それでも椅子も資料も不足になるほど参加してくれた。危機感と何とかしなければという切迫感の反映です」(青木章人・須崎農民組合長)。 事実をあげて「セーフガードを発動させることはできる! 地域ぐるみ、農業界ぐるみの力で発動させ、これをWTO農業協定改定を求める運動の突破口にしよう」と訴える講師の話に確かな共感が広がります。
署名や国・県への働きかけ確認「顔を合わせれば『安くて作るものがない』とこぼしあってきた。しかし今日の大会を高知県中に広げ全国に広げて、セーフガードの発動、WTO協定の改定を実現すれば生きる道はある」(川上悦弘さん47歳)。大会では署名運動や国、県への働きかけに全力をあげることを決議しました。
高知県下では須崎市のほか、九月十六日から十八日にかけて、南国市、高知市、土佐市でも連鎖的に学習会を開き、セーフガード発動、自主流通米の値幅制限復活、WTO協定改定などの国会・地方議会あて請願署名の取り組みを開始しました。
「セーフガード発動求める請願」各地で歓迎され広がる農民連・食健連がとりくむ「緊急輸入制限(セーフガード)の発動を求める請願」が、「いい時期にいい提案をしてくれた」と各地で歓迎され、全会派が紹介議員になり全会一致で採択されるなど、共同の輪が広がっています。埼玉 久喜市、所沢市、江南町などで採択。上里町では、議会選出を除く農業委員全員が提案者に。さらに、請願書を見て「これはいい」と言う同町農業委員会長(児玉郡市の連合会長も兼務)は、児玉郡五町村と本庄市の農業委員会長を集めて「一緒にやろう」と提案。また深谷ネギの産地、深谷市は、輸入急増による暴落対策として緊急に約三千万円の補正予算を組みました。 長野 飯田市では、四会派すべての代表が紹介議員になり、「セーフガードの発動を求める請願」が審議されています。「初の出来事。輸入による価格暴落が、どの会派も身近に感じている」と後藤荘一さん(飯田・下伊那農民組合事務局長)。エリア内の七市町村にも請願・陳情を提出。 鳥取 県内すべての三十九市町村に請願書を提出。東伯町では、日本共産党の青亀議員が他会派の同僚議員にも呼びかけたところ、五人で共同提案することに。 群馬 北橘村、富岡市が九月議会で採択され、県内七十市町村のうち二十五目治体で請願が通りました。「どこでも『農民連はいい時期にいい提案をしてくれた』と歓迎されている」といいます。 また群馬県中も、県議会にセーフガードの発動を求める請願を提出しています。 新潟 県内百十二の全市町村に請願を提出している新潟。これまでに長岡市、六日町、大和町で採択。トップを切った長岡市は、「農民連の請願が採択されたのは初めて」(長岡農民連の石橋会長)。 栃木 「議長も、農業委員会事務局長も輸入に怒っている」と、海老原恒夫事務局長。十二市町回ったところ、「まさにその通り」といった声が相次ぎました。 大阪 能勢町で全会一致で請願が採択された大阪。府農協中央会は、農業会議所とともに、セーフガード発動手続きを開始するよう求める文書を政府、政党に送付。地元選出議員に直接要請しています。 大阪府農民組合は八月十日の対府交渉を皮きりに、農協、農業委員会、自治体を回り、運動を呼びかけてきました。 鹿児島 鹿児島県連は、九月六日、県に対しセーフガードの発動を国に要請するよう申し入れました。鹿児島市の青果市場では、輸入野菜の取扱い量がこの十年で三倍に。藤元広美農政部次長らは「農業を守ることは県政の重要な仕事との立場から国に要請したい」と述べました。
(新聞「農民」2000.10.2付)
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[2000年10月]
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