韓国の農協の選別場に高知産ピーマンの「規格基準」「JA土佐くろしお」谷本さん語る
韓国から生鮮ピーマン、シシトウ、きゅうりの輸入が急増しています。ターゲットは日本。いずれも日本の農家が価格暴落にあえいでいる品目です。一月に韓国南部の普州(チンジュ)を訪れ、実態調査をしてきた谷本敏明さん(須崎市農業委員会会長・「JA土佐くろしお」農政会議会長)に聞きました。 「韓国は、もっぱら日本向けにピーマンやシシトウを作り、高知ピーマンの規格基準を農協の出荷・選別場にはって、高知産とまったく同じ規格のものを輸出してくる。シシトウも同じやり方だ。韓国の労賃は日本の半分。しかも韓国政府は、ハウス用重油について、一リットル四十円のうち実に三十五円を補助している。これでは太刀打ちできるはずかない」 ピーマン・シシトウの輸入が本格化しはじめたのは九三年。倍々ゲームで増え続け、九九年には二二・六倍に達し、今年一〜六月も前年同期比一・五倍の七千百十一トンになっています。 しかも、韓国の国民はピーマンやシシトウのような辛くないトウガラシ類は食べず、生産したものはすべて日本向け輸出。 一方、国内価格は暴落状態。JA土佐くろしおの販売実績表によると、比較的値がよかった九八年の販売単価は一キロ四百二十五円。これが今年七月末現在の平均単価は二百四円と半値以下に下がりました。 須崎市多ノ郷でハウスピーマンを五十アール作っている細木敏充さん(70)。汗びっしょりのウネ立ての手を休めて、こう語ります。 「売り上げが十アール四百万円あれば貯金もできる。一昨年は五百万円だったが昨年は三百万円。今年こそはと思ったら、二百五十万円。十五年前にキュウリからピーマンに切り換えたが、いまさら何を作れというのか……」 「韓国政府の農政に対する意気込みはすごい。重油補助のほか、昨年まではハウス建設に八〇%助成していた。もっとすごいと思ったのは『わが政府は、これはダメだと思ったら、すぐにセーフガードを発動してくれる。農民の要求にきちんと対応してくれる』という韓国の琴山農協の組合長の言葉だ。日本政府も機動的に発動できるよう体制を整備すべきだ」(谷本氏)。 政府は、いまこそこういう声にこたえるべきです。
(新聞「農民」2000.10.2付)
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[2000年10月]
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