「農民」記事データベース20001002-465-01

農水省統計と生産者価格をグラフにしたら

輸入増と価格暴落ぴたり一致

これでも農水省はセーフガード拒むのか


 「価格下落の原因は豊作のせい。セーフガードの発動要件には至っていない」とシラを切り、あげくのはてには「セーフガードを発動するほど、農家は困っていない」と開き直り――九月十九日の参院決算委員会で、農水省の西藤久三食品流通局長は、大汗(冷や汗?)をかきながら、こういう答弁に終始しました。日本共産党の阿部幸代議員に答えたもの。

 図1は最近三年間の月毎の生鮮キュウリの輸入量と輸入価格、生産者価格を比べたもの。もともとは農水省統計情報部が作ったグラフに農民連が生産者価格も比較できるように手を加えたものです。「輸入とは関係ない」どころか、輸入価格の下落に引きずられて国内の生産者価格が下がっていることは一目瞭然。

 さらに長期的に、この十年間をみると、輸入が増えるにつれて、生産者価格も作付面積も右肩下がりに下がっていることも明瞭です(図2)。

 自分たちが公表した統計にシラを切って、セーフガード発動を回避しようとする――。農水省は、WTOとアメリカ、財界の“用心棒”なのでしょうか。

 また、暴落に苦しむ農家を尻目に「農家は困っていない」とは、なんとも冷酷な答弁です。

 政府が発表した九九年産米の生産費調査によると、稲作農家の日当(一日当たり労働報酬)は下がりに下がって三千八百三十三円。

 一方、本省局長の月給は百二万五千円(指定職七号俸)。ボーナスが四・九五カ月分ですから、正確には百四十四万七千八百十三円。出勤日二十一・五日で割ると、局長の日給は六万七千三百四十円。農民の日給は実にその百分の六です。

 額に汗し体を泣かせて働く農民の「月給」に近い「日給」――これは、WTOとアメリカ・財界の“用心棒代”なのでしょうか!

(新聞「農民」2000.10.2付)
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2000年10月

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