“万葉の里”に農への熱意溢れ農民連青年部夏の学習交流会なだらかな丘一面に棚田が広がる万葉の里、奈良県明日香村で、七月二十八日から三十日まで、農民連青年部「夏の学習交流会」が開かれました。山形、茨城、千葉、静岡、愛知、奈良などから、のべ参加者数は約五十人。初のコース別視察や遺跡めぐりのサイクリング、また他業種の青年の参加など、今回は“初”づくし。大いに語り、学び、充実した三日間でした。
“初めてづくし”お互いの経験交流今回は、初参加の青年も多く、「親戚から青年部の存在を紹介されて」参加したという青年(群馬県)や、大阪の消費者グループの青年、地元奈良からも福祉施設で働く青年など、まったくつながりの無かった分野の青年が参加しました。一日目は「激増する危険な輸入農産物、最新の実態」と題して農民連食品分析センターの石黒昌孝所長が講演。その後、三つのグループに分かれての分散討論では全員が発言し、生産現場での思いや価格の話、市場への取り組みや産直での苦労などを討論しました。そして夜は、バーベキューを堪能。肉、野菜は地元奈良から、魚は京都から、それに全国から持ち寄った地酒の数々とに舌鼓を打ちながら交流しました。
テーマ別視察に参加者も感激二日目は、初のコース別視察。畜産コースは、搾乳牛の糞をすべて堆肥にして販売しているという「正木牧場」を視察し、手作りハムの店「ばあく」でソーセージ作りに挑戦。酪農への情熱や苦労なども明るくさわやかに語ってくれた正木さんに感激。ソーセージ作りでは、皆、悪戦苦闘しながらも、初めての経験に大はしゃぎ。焼きたてのソーセージの味はまた格別でした。果樹コースで訪れた無農薬茶を十九年前から栽培している岩田さんは「害虫の大発生で挫折しそうなこともあったが、消費者の支援でなんとか乗り越え、近く茶工場を建設して、長男が就農する」と話してくれました。続いて、ブドウとナシの七割を自宅の直売所で販売する宮本さんからは「土作りで味を良くし、品種を変えて八〜十月の長期間供給することで、直売所の固定客を得ている」話をうかがいました。 加工コースは、奈良産直センターで豆腐加工をしている大江卓さんの指導のもと、豆腐作りに挑戦。お昼は完成した手作り豆腐と大江さんのお母さん作の五目寿司。国産大豆の豆腐は大好評でした。
明日香の村おこしと遺跡を学習コース別視察のあとは宿舎に戻って、開催地明日香村の事業部次長の古山賢治さんが「明日香村の村おこし」と題して講演。棚田のオーナー制度や、価格補償制度、農業公社のとりくみなど、地元自治体の農業政策を直接聞くというのも今回が初めての試みです。続いての全体討論も充実。「家が酪農をしているが、雪印の食中毒には本当に怒っている」と発言したのは静岡の酪農家、小川一也さん。スーパー経営の春山裕さんは「安全で本当においしい物を、味のわかる人を相手にがんばっていきたい。生産者の立場にたって考えていきたい」と発言。大阪の消費者グループから参加した増田拓志さんも「同世代の農業青年が困難ななかでも頑張っていることに励ましを感じた」と発言。この他にも「家が養豚で、おいしい肉を求めて試行錯誤している。でも価格が見合わず、就農を真剣に迷っている」と発言した静岡県の森島宏昌さん。 「直売所の経営が難航。これからも工夫していきたい」と発言した千葉県の大木和代さん。 最終日は遺跡めぐりサイクリング。貴重な遺跡を破壊して建設中の万葉ミュージアムも見学しました。
(新聞「農民」2000.8.14付)
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[2000年8月]
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