「農民」記事データベース20000731-458-12

選挙がすんだらやっぱり出てきた…

消費税の大増税

政府税調の中期答申

関連/出足早く税金学習会ひらく


 いまでも消費税で苦しいのに、さらに大増税――七月十四日、首相の諮問機関である政府税制調査会(加藤寛会長)は、二十一世紀初頭の税制のあり方として消費税引き上げを明記した「中期答申」を森首相に提出しました。

 答申では、日本の危機的な財政状況や高齢化に対応すると称して、景気が「回復軌道に乗った段階」での「財政構造改革」の実施を求め、「財政構造改革は国民にとって厳しい内容とならざるを得ない」と、国民への増税を迫っています。

 その内容は、消費税率引き上げや所得税の課税最低限引き下げ、中小企業をはじめすべての企業を対象にした外形標準課税の導入など、国民にとって“増税の三重苦”を押しつけるという空恐ろしいもの。

 こういう大増税が実施されたら、国内総生産(GDP)の六割を占める個人消費がさらに落ち込み、国民の家計と日本の景気に大打撃を与えることは明白です。現に一九九七年に消費税が三%から五%に引き上げられた後、景気は後退したままです。

 さらに答申は「消費税は、今後、わが国の税財政にとってますます重要な役割を果たすべき基幹税である」と位置づけています。「基幹税」とは、税の中心に据えること。すでに二〇〇〇年度の消費税収は十二兆三千億円にのぼり、法人税収の九兆九千億円を上回っています。今回の答申では税率を明記していませんが、加藤会長がいう「景気回復後に一〇%」としたら消費税収は約二十五兆円となり、所得税を上回ります。加藤会長が「将来避けられないという一五%」になれば消費税収は三十七兆円を超え、法人税と所得税を合計した税収よりも多くなります。

 そのうえ、答申では消費税の「福祉目的税化」についても検討しています。基礎年金、老人医療、介護にかかる給付の全額を消費税収で賄う場合は、二〇二五年には三七%まで消費税率を引き上げる必要があるとしています。低所得者ほど負担が重い際限なき増税がたくらまれています。

 「経企庁研究会がまとめた消費税35%の未公開文書」という『サンデー毎日』(七月二十三日号)の記事では、経済企画庁の研究会がまとめた「財政赤字の経済分析」という秘密文書を暴露。財政赤字を減らす三つのシナリオとして、消費税を三五%、三〇%、一五%に引き上げることを検討していると報じています。

 総選挙中、消費税大増税に一言もふれず、終わった途端に政府税調に増税のレールを敷かせ、国民をだまし、押しつける自公保政権のやり方は、けっして許せません。


出足早く税金学習会ひらく

山形農民連

 山形県農民連は七月十三、十四日、山形市蔵王温泉で一泊しての税金学習会を開き、二十五人が参加。

 今年の税金申告から「農業所得標準」より「収支計算」に移行することが決まっていますが、県内の農民連会員の半数近くは「農業所得標準」で申告しています。「収支計算」に移行していくために、混乱を招く恐れもあり、早い時期に対策をたてる必要があります。

 平田啓一税対部副本部長が農業所得申告をめぐる情勢と山形県農民連の農業白色用記帳簿を使いこなすポイントについて講義の後、各地から税金申告運動の取り組みについて報告、また、置賜農民連が収支内訳書提出の強要をやめるよう税務署に申し入れを定期的に行っている活動を報告。

 翌日は、実際にあった税務調査の模様を寸劇に仕立てて演じ、パソコンの画面を見ながら税金申告の学習など、盛りたくさんな内容となりました。

(山形県連 柴田雅子)

(新聞「農民」2000.7.24・31付)
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2000年7月

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