輸入急増、価格暴落などに抗して共同の流れさらに大きく産直協第12回総会開く
「輸入農産物の急増に、多様な流通の探求で対抗しよう」――産直運動全国協議会第十二回総会が、七月六〜七日、山形県鶴岡市で、三十五都道府県から百四十七人が参加して開かれました。輸入急増による米・野菜の空前の暴落のもと、「セーフガード発動を求める運動を全国一丸で」が合言葉に。そして、ブロック・県ネットのとりくみや、市場出荷の経験を交流し、「市場、仲卸、小売、消費者との共同の流れをさらに大きくしよう」と、意気あがる総会になりました。
セーフガード発動を全国一丸で「圧倒的な安値の中で、どんなにいいものを作っても流されてしまう。自分たちの生活がかかった問題。農民の意地を示すためにも署名を全農家から集める」。セーフガードの発動を求める運動にとりくむ並々ならない決意を表明した熊本・太陽の会産直センターの堺祐一さん。「トマト一箱(四キロ)の手取りが百五十円に暴落する一方で、田舎のスーパーにも韓国産トマトが置いてある。頭で分かっていたことが、初めて肌身に感じた」と述べました。農産物価格の暴落をあたかも豊作のせいにする報道に対して、小林節夫・農民連代表常任委員は、中国などを舞台に開発輸入を進める商社や、それを後押しする政府を厳しく告発。「農業の未曾有の危機をもたらす原因を直視して、輸入に対抗しよう」と強調しました。 群馬県農民連産直部会の長沢尚さんは、県内すべての自治体の六月議会に向けたセーフガード発動を求める請願が十五自治体で採択され、保守系議員にも賛同が広がっている運動を報告。これまでつながりのなかったシイタケ生産組合などと一緒に、県議会に意見書を提出する動きが進んでいる福島農民連の根本敬さんは、「あらゆる団体に働きかけて、全国で大きなうねりを巻き起こそう」と呼びかけました。
多様な流通探求豊富な経験交流「いいものを届け、イベントにも積極的に参加する中で、消費者にも『農民連ブランド』が浸透しつつある」。東北・北海道ネット(ほくほくネット)の堂前貢さんは、昨年二万俵の実績を残した東京の仲卸・米屋との「準産直米」のとりくみについてのべました。「大宮市場向けトウモロコシのリレー作付にとりくむ」(関東)、「作付を増やしたニンジンを何とか完売したことで生産者が自信を持った」(東海)、「大阪東部市場との懇談を通して、その先にある小売の要求も見えてきた」(近畿)、「五から二十七へ取り扱い品目を増やし、Fコープとの信頼関係が強まった」(九州)と、各ブロックネットが試行錯誤の中で前進させてきた生産と流通を守る共同のとりくみについて発言。 生協に出荷する県内七産地で新しい事業体を立ち上げる準備を進めている茨城ネットの奥貫定男さんは、新聞「農民」の読者を増やしてきたことが、輸入が暴落を引き起こしているという認識で一致し、農民連への垣根も取り払ってきたことを報告しました。 また、各地の代表は、市場出荷の経験や固定資産税の運動など、多彩なとりくみについて発言。齋藤敏之・産直協事務局長は、「『まず荷を出そう』と始めたこの運動が、作る人を増やしながら、ここまで前進してきたことを確信にして、さらにウイングを広げて働きかけよう」と呼びかけました。
(新聞「農民」2000.7.24・31付)
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[2000年7月]
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