劇団・青年団「ソウル平民1919」を観て「植民地・朝鮮」に胸痛む
劇団「青年団」は、日本の植民地・朝鮮で支配者側の一員として暮らす日本人の滑稽さを描いた「ソウル市民1919」を富山と東京で公演しました。たまたま「神の国」「国体」の森首相発言が問題となっているときだったので六月に行われた東京での公演を観劇しました。 一九一九年三月一日は、韓国が日本の植民地化に反対し独立を宣言、全土で大規模な闘争を行った日です。日本では「万歳事件」といわれています。韓国の人々にとって、「三・一独立運動」は今日でも重要な記念日で、さまざまな催しを行っています。ソウル市内の夕プコル公園(旧パゴダ公園)には、当時の独立宣言文が大きな石碑に刻まれ、日本人の観光客もよく訪れています。 この作品は、一九一九年三月一日午前中のソウル市にある文房具店の日本人一家の生活を描いています。ソウル市内では、「三・一独立運動」の動きがあるのに、それが何のことかも知らずにいる日本人一家。朝鮮人の女中さんが「朝鮮が独立したんで」と街頭のデモに参加することを告げると、「独立ってどういうこと?」とあっけにとられる日本人一家。朝鮮人を支配するのが当然のことのようにふるまう当時の日本人の思想が浮き彫りにされています。 作・演出は平田オリザ(青年団主宰)。十年前には、日本が韓国を植民地化する直前のソウル市の日本人一家を描いた「ソウル市民」を公演しています。「ソウル市民1919」は、その続編で、九月には韓国人が上演することにもなっています。 戦前、日本人が朝鮮人の苦しみをまったく気にとめず、のうのうと暮らしていた暗い歴史の一面を知り、胸が痛みました。 (西)
(新聞「農民」2000.7.17付)
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[2000年7月]
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