若い子らの食事考京の味今昔岩崎 靜「京の伝統料理」を執筆していただいた岩崎静さんから便りが届きました。岩崎さんは「日本の伝統食を考える会」の会員で、京都市内で昔ながらの伝統のお惣菜とお弁当の店「若竹」を、四十年近くにわたって営んでいます。岩崎さんの野菜たっぷりのお弁当は、「お母さんの味だね」と、最近また若い世代のお客さんが増えだしたとのことです。
今更、粗食などと言うまでもない。我々年代の者はあの苦しい時代、粗食以前のものを食べた結果、この年まであまり病気をせずにすごせた。 この頃、若い人達が好んで私の田舎の弁当を買って下さり、ちょっとずつ昔の味をわかって下さってるのかなあと思います。 新しいメニューをぜんぜんうけつけないわけではありませんが、テレビのコマーシャルなどを見て、「京の○○どうふ」とか、なんでも野菜の上に「京」をつければよいと言うものではないと思います。 とことん食べ物に困ると、いろいろな知恵がうかぶもので、昔、「あの畑のそばには“芋のつる”がある」とか、「あの河原のよもぎが柔らかい」とか、いろいろ情報をかわしたものです。失敗もたくさんあり「この野菜は食べられる」とか、「これは毒がある」など、よくわかりました。 あの神戸の大変な地震の後、若い子などに「非常時の用意として何をたくわえたらよいか」と聞きますと、「カレーのルゥ、バター」などと答えました。私は「そうじゃない、まず塩、砂糖、いり米など」だとがんばりましたが、わかってもらえませんでした。 今は美食の時代とかいわれますが、まず朝食が肝心。ご飯も食べずに学校に行き、ちょっと運動をするとすぐクラクラする。これはみな食物のせいです。小魚、青菜などうまくくみあわせて、しっかり食べることだと思います。母たる人も世の風潮に流されることも悪いとは思いませんが、きれいなだけがよいというものでもありません。 きっちり基本を考えて、子どもたちの体をつくってあげてほしいと思います。
(新聞「農民」2000.7.3付)
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[2000年7月]
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