「農民」記事データベース20000703-455-05

“日本農業の実力は”?

格段に高いカロリー生産力


 “日本は土地が狭く、農業には向かない国だ”とか「日本では、ただでも狭い土地を農業保護という名のもとに非効率に使ってきた……国土の利用という見地から、米作りが将来とも日本に適したものかどうか疑問だ」(永野健日経連会長=当時、九四年八月)などと述べて、異常に低い食料自給率を合理化する議論が幅をきかせています。

 また、学校教育やマスコミで“日本農業ダメ”論をさんざん吹き込まれ、これが天下の常識のように思い込まされているむきも少なくありません。

 しかし、本当に日本農業は“ダメ”なのか――。

 グラフは人口と国民一人あたり摂取カロリー、自給率、農地面積から計算した農地一ヘクタールあたりの人口扶養力ですが、日本の農地は、なんとアメリカの十三倍、ヨーロッパの二・三〜四倍もの高さです。

 欧米の農業生産は、畜産と耕種がほぼ半々の比率。日本は耕種七五%、畜産二五%で、水田が農用地面積の五五%を占めます。大雑把にいえば、アジア・モンスーン地帯に属する日本の農業は「草とたたかって米を作る」農業であり、欧米は「畑に草を植えて牛を飼う」農業です。

 これが農地の生産力の隔絶的ともいえる開きの原因ですが、いずれにしても、日本農業は“ダメ”どころか、たいへんな実力の持ち主であることは明瞭です。

 WTO流の自由化・グローバル化をはねかえし、農産物輸入のコントロールと価格保障をきっちり行うなどのまともな政策がとられれば、こういう日本農業の実力をいかし、日本国民への食糧の安定供給と、二十一世紀の世界の食糧不足解決への貢献ができます。

 WTOとアメリカに「滅私奉公」で、こういう日本農業の可能性をスポイルする自公保政権にまかせるわけにはいきません。

(新聞「農民」2000.7.3付)
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2000年7月

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