“遺伝子組み換え米”押しつけねらう米の完全輸入自由化を要求クリントン政権に「アメリカ米連合会」が意見書
“アメリカ米業界の繁栄は米輸出にかかっている。政府は、WTO農業交渉で世界中の市場にアメリカ米が出回るよう圧力をかけなければならない”――「アメリカ米連合会」がクリントン政権に対し、こんな意見書を出していたことが明らかになりました。
アメリカ政府とゆ着した札付き団体「アメリカ米連合会」は全米精米業者協会(RMA)と全米ライス・カウンシルなどの連合会。このうち、RMAは八六年と八八年の二度にわたって“日本の米輸入制限はガットとアメリカ通商法に違反する”として提訴し、ウルグアイ・ラウンドでの米関税化の引き金を引いた団体。ライス・カウンシルは九一年に幕張メッセで開かれた「国際食品・飲料展」で日本政府の制止を押し切って違法な米展示を行い、農民連などの抗議の前に最終日になってしぶしぶ撤去した実績をもつ団体。アメリカ政府と癒着した札付き団体です。 意見書の内容は、WTO農業交渉の目標として(1)関税割当を撤廃させる、(2)米の関税を今すぐ顕著に縮小させ、最終的に撤廃させる、(3)バイオテクノロジー農産物が「科学的」に評価され、その市場アクセスが保証されるという原則を確立することなど。
米の関税割当“撤廃”へと方針転換重大なのは、同連合会が、ウルグアイ・ラウンドのときは「非関税障壁を撤廃」させ、関税化を押しつけるために「関税割当を使うことの利便を認めてきた」方針を転換し、今後は「関税割当の撤廃」を目標にするとしていること。関税割当とは、一定数量(米でいえばミニマム・アクセス数量)の枠内は低税率で輸入を認め、枠外は高関税をかけることができる制度。これを廃止し、しかも関税ゼロを「ゴール」に大幅に引き下げよというのですから、完全自由化そのものです。 いま、アジアの米輸入国(フィリピン、インドネシアなど)では「国民の主食ぐらいは自国で作らせよ。米の輸入自由化は絶対反対だ」という声が高まっていますが、アメリカ政府と癒着した米業界の要求は、こういう声に真っ向から挑戦するもの。日本政府が昨年四月、ミニマム・アクセス米輸入の伸び率をほんの少し抑えることを口実に、全面的な関税化に踏み切ったことが、こういう乱暴な要求の引き金になったことはまちがいありません。
“組み換え”農産物の表示にも反対さらに無視できないのはアメリカ米連合会が、遺伝子組み換えを含むバイオテクノロジー農産物の輸入規制や表示に反対する意図を公言していること。アメリカでは、日本人の好みに合うジャポニカ米を遺伝子組み換えによって作りだそうとしていますが、米の専門団体である同連合会が、こういう要求をする背景には、日本に大豆やトウモロコシに続いて、今度は“遺伝子組み換え米”を押しつけるねらいがあることもまちがいありません。
(なお、関係資料は同連合会のホームページから取り出すことができます。 (新聞「農民」2000.7.3付)
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[2000年7月]
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