「農民」記事データベース20000619-453-10

江戸時代から現代まで使われた

揚・排水具「でいろ」

長野・豊野町立郷土資料館


 長野市の北に位置する豊野町の小高い丘の上にある町立郷土資料館に、土器・石器、鎧や民具・農具とともに江戸時代から戦後の一九六〇年代まで使われていたという「でいろ(だいろ=でんでん虫のこと)」と呼ばれた揚・排水具が保管されています。

 資料館の倉石和彦さん(42歳)によると、この「でいろ」は江戸時代に三回試みられ、いずれも完成しなかった下総の印旛沼干拓に参加した新津順治郎という人が、そこで使われていた排水用具を覚え、水の便が悪かった出身地の南郷(現豊野町南郷)や隣接する長野市赤沼の田に、川から揚水するために転用したのが最初とのこと。

 「でいろ」は竹のタガで締めた桶胴の中が厚い木のうずまき状になっていて、上部のハンドルをまわすと、中を水が揚がってくるアルキメデスポンプで、これと同じ形式の排水具「水揚輪」が佐渡金山の坑道に人形とともに展示されています。

 以前は各戸にあったようですが、はじめは軽いが、水が上って来ると重くなって難儀だったようで、やがて石油発動機でまわすバーチカルポンプにかわり、それも消えていきました。

(T/新聞「農民」2000.6.19付)
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2000年6月

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