「農民」記事データベース20000619-453-09

学生ボランティアの感想(上)

新しい体験・発見に喜び

 「農業を知りたい」「農作業を体験したい」――YAC(ユースアグリクラブ)の仲間たちが、農業ボランティアに参加し、農作業に汗を流しています。感想が届いたので、紹介します。


根気よく地道な果実の摘花

永井直子

 ボランティア先 山形県上山市の加藤勇さん(サクランボ・洋梨など果樹。観光農園も)

 私は、五月の第一週の一週間、山形県の果樹園で、サクランボやラ・フランスの摘花作業をしました。木の周りをハシゴを小まめに動かし、何度も登ったり降りたりしながら摘花しました。何十分とかかってようやく一本の木を摘花し終わると、充実感というか、やり終えた喜びを感じました。

 地面には落とされた花々が広がっています。鑑賞用の花のように果樹の花々を見てしまうと、何となく淋しく感じました。でも、これは私も含めて消費者の要望のため。「より大きく、色や形はより綺麗なものを」……消費者が求めている声です。

 私は、これまでサクランボやリンゴなど果樹は自然の状態のままで育てれば、売られているぐらいの大きさになるのだと思い込んでいました。でもこれはまったくの誤解だとよくわかりました。農家の方々が毎日、手足を動かし、地道に根気よく作業を続けて、消費者のニーズに応えるような果実を産みだしているのです。農家の人々にとっては、作った農産物を「売る」ということも大切なことで、売れなければ、生計がなりたたなくなってしまいます。朝つぼみだったのに、午後には花が咲いたり……。こういった植物の成長・変化を感じられるから、農業という仕事を続けていられるのだと思いました。

(東京農業大学国際農業開発学科三年)


夢や経営方法も学んだ

福地礼子さん

 ボランティア先 愛知県渥美町の小笠原弘さん(米、野菜、鶏など。農業体験、宿泊施設、直売所などを含む「どろんこ村」を共同で経営)

 今回は、農業の体験ももちろんですが、私は何よりお世話になった小笠原さん一家の夢や考え方、そしてその農業の形態から、いろいろなものを学ばせてもらったと思っています。

 小笠原さんたち「どろんこ村」の皆さんのような特殊な農業経営の方法は、いろいろな面で大変な部分があるようです。しかしみんな目指すところがはっきりしていて、いつでも、少しでも夢に近づこうとか、少しでも良くしていこうという気持ちが強くて、大変なことをしている時でも楽しそうにやっていました。ジャガイモの植え付けや卵の出荷、クッキー作りなど様々なことを手伝いましたが、小笠原さん夫妻は、夫婦というだけでなくパートナーとして支え合っていて、「いいなぁ」と思いました。

 小笠原さんはすごく勉強していて、世界的には食糧危機なのに日本の自給率はとても低いことなどもお聞きしました。私の実家も農家ですが、私自身は発展途上国などに関心をもってきました。でも、日本もたいへんだぞ、国内で、自分の近くから、やっていきたいと考え始めました。

 家族農業は、核家族化や後継者の結婚など、難しい面も抱えていると感じています。でも、小笠原さんの所での経験が「うちの農業も手伝って、この先なんとかしなくちゃ」と、新しい目で見直す機会を与えてくれたと思います。

(東京農業大学国際農業開発学科二年)

(新聞「農民」2000.6.19付)
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2000年6月

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