森首相の「神の国」発言は憲法と相容れない前田 新(農民詩人・福島在住)
今度の総選挙の争点は、ひとつに森首相の「神の国」あるいは「国体」といった「主権在民」を明記するわが国の憲法と相容れない発言がある。 この経過をみるに森首相は、その発言のもつ意味をまったく理解できないのではないかと思わざるをえない。世界各国からも、また日本国民からもおかしいと不安や懸念が起こっても、てんとして「私の考えは間違っていない」と、開き直るのは、傲慢や思いあがりだけではなく、本心そう思っているからであろう。そして国民もという錯覚が彼にはあるからであろう。 しかし、この発言があってから森内閣の支持率は急落した。どう釈明しようと国民の考えとは異なるという敏速な意思表示が示されたのである。 首相として不適格者であることは明瞭だが、これほど歴史認識や言語感覚に無知ぶりをさらしたのは、戦後政治においては前代未聞のことである。それを自民党や公明党など連立与党は、「言葉じり」などとはぐらかして擁護し、あろうことか「憲法を暮らしに生かそう」と、府民の信頼を得た蜷川元京都府知事を自民党の野中幹事長は「憲法のつまみ食い」などと誹謗し、支離滅裂な反共デマをテレビでふりまいている。 また自公保与党は、「野党は政策がないから『神の国』を言う」などと、見当違いの攻撃を展開しているが、そのような詭弁ではもはや国民は騙せない。とくにわが国の過去の歴史における天皇を中心とした「神の国」の時代に農民がその最大の被害者であったことは誰もが否定しえない歴史的事実である。 時代錯誤も甚だしい森首相の「神の国」も、また公明党が狙う特定宗教の政治支配・介入も国民の願いとはまったく無縁である。 私は、今度の総選挙で彼らがなりふりかまわず攻撃する共産党にこそターニングポイントへの核心があると見る。まともな常識が通る正常な国にして二十一世紀を迎えたい。 (会津高田町在住)
(新聞「農民」2000.6.19付)
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[2000年6月]
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