農業者年金改悪選挙後また提出ねらう世論恐れ「死んだふり」する政府・自民党農業者年金の改悪案に対する農民の激しい怒りに驚いた政府・自民党は、改悪案をいったん引っ込めたふりをして、全国農業会議所、全中(全国農業協同組合中央会)、全国農業者年金連絡協議会の三団体と意見交換会を五月十二日から開いていますが、総選挙後の七月十日には「農業団体の意見を聞いた」と称して改悪案の強行をねらっています。
農水省が昨年十二月に出した「農業者年金制度改革大綱」(案)は、全国七十五万人いる受給者の年金を平均三割(経営移譲年金三五〜二五%、老齢年金五%)もカットしたり、四十六歳末満の加入者が、平均余命の八十二歳まで生きていても年金受給額は支払った保険料の総額にも達せず「掛け損」になるという、とんでもないものです。
女性の年金、受給三割しかしかも、九六年からスタートした女性の年金加入は、「政策年金だから大丈夫」という農業委員会などの勧誘で増えていますが、四年間にかけた保険料のうち、三割くらいしか受給できない事態も起きます。これに対して全国各地の農業委員会が反対の意見書を続々と採択。あまりの大反発に政府・自民党は大綱案を一時引っ込め、全国農業会議所・農業委員会を使って、農家の“意見集約”をさせました。三団体は四月六日に「意見集約」を農水省に提出、五月十二日から意見交換会を開いています。 農水省は、選挙中は“死んだふり”をして農業団体の意見を聞く素振りを示すものの、年金大改悪案を撤回するつもりは毛頭なし。事実、農水省は五月に「農業者年金制度改革大綱(案)について」という文書を出していますが、その中で「年金給付は5〜35%の削減となるものの、削減後であっても平均余命までの受給総額は納付済み保険料総額を大幅に上回ります」と、三割カットを強行するねらいを公言しています。
緊急集会で農民の怒号一方、五月二十九日には宮崎県で県農業会議、県農協中央会、県農業者年金受給者協議会主催の「農業者年金対策緊急要請集会」が開催されました。集会で来賓としてあいさつした自民党衆院議員は「年金財政が不足し、もたなくなった」「北海道の有珠災害には金を出していないが、口蹄疫対策には百億円も出した」と弁明しながら、「民主、共産政権ができたら、国政は混乱する。農業は衰退する」などと、自らの失政を棚に上げて野党攻撃。集会に参加した清武町の小玉允則さんは「参加者からのヤジと怒号がすごかった。自民党はダメだという声が上がった。農民は本当に腹をたてている」と語っています。
農業衰退は政治の責任四月二十九日に高知県で開かれた「農業者年金制度の見直しに関する緊急集会」でも自民党衆院議員は暴言をはきました。中谷元議員は「農業衰退は、日本人の心に問題がある。権利ばかり主張する人が増えてきたからだ。その原因は憲法にある」などと発言、参加者を驚かせました。その直後に日本共産党の春名直章衆院議員は「農業が衰退したのは政治の責任」と指摘、「農業と農業者年金を守るためにも農産物の輸入規制と価格保障が必要。力を合わせて農業を守るために頑張る」と訴え、参加者から共感の拍手を受けました。 自民党勢力は農民の厳しい批判をかわそうと、暴言をはいたり、農業者年金大改悪案については“死んだふり”をしたりと必死です。農業者年金の大改悪をやめさせるには、自公保勢力に厳しい審判を下すことがどうしても必要です。
(新聞「農民」2000.6.19付)
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[2000年6月]
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