自然とのふれあい大切にして俳句、手品など多彩な才能発揮和歌山のみかん農家 中西源治さん(78)
和歌山県下津町上地区在住の中西源治さん(78)は、若い頃からみかんの減農薬栽培を志し、しもつコープファームの前身である下津町農民組合の時からずっと産直活動に取り組んできました。 中西さんは、みかんを軸とした果樹経営を行いながら、俳句や手品など趣味の世界でも多彩な才能を発揮し、地域の文化振興のリーダー的な存在です。 とくに俳句は趣味暦五十年の大ベテランで、「泡三」という俳号で活躍、今でも俳誌「岬」(主宰・今川凍光氏、発行所・下津町上)に毎月五句ずつ発表するなど精力的に活躍しています。
父祖よりの 劣等田に蝌蚪(かと)育つこれは、中西さんが俳句を始めた初期の作品です。伝統的俳句である有季定型を重んじる中西さんの俳句には、自然とのふれあいを詠んだ作品が多く、「自然と接する機会の多い農業に携わっていることに感謝し、日々の自然との出会いを大切に」していることが、佳句を得ることにつながるのでしょう。 その場の決定的瞬間をわずか十七文字に表現し、なおかつその感動を伝えていくのが俳句の難しさ。最近の作品の中に次のような句があります。
鵙とわれ いつも一対一で会うという句にもみかん畑での百舌鳥という小動物との何気ない出会いのなかに、自然とのふれあいを大切にする農家のほのぼのとした共感が伝わってくるようです。 最後に、句づくりの信条について「生きている証として、日々の生活や体験、目に触れるものを遺していくことであり、その気持ちは昔も今も変わらない」と中西さんは語ってくれました。
雉啼くや 後継ぎのない蜜柑山 (しもつコープファーム 河島 勉)
(新聞「農民」2000.6.12付)
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[2000年6月]
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