固定資産税農民連 自治省交渉で成果「敷地内農用地は区画で農地並み評価」明言米をはじめ農畜産物価格の暴落のなかで、毎年上がる固定資産税は、農民の経営や生活に大きな重石――農民連は固定資産税問題に取り組んで成果をあげ、運動を広げ、自治省をあわてさせています。 五月三十日には、日本共産党の緒方靖夫参院議員の協力を得て、自治省と交渉を行いました。これは五月十日に青森から山口まで全国から四十二人が参加した交渉の続きとして、詰めの交渉を行ったものです。
交渉を通じて明らかになった第一は、敷地内の農業施設用地について一筆評価でなく、区分できるものは区画で評価すると明言したこと。各地で一筆評価を理由に農地並みを拒否しているので、これで敷地内でも農地並みを実現できます。
畜舎なども当然農地並と回答第二は、昨年九月二十九日の通達を鵜呑みにして宅地並みにしている自治体が多く、畜舎などの農業施設用地を雑種地と認定して宅地並みの評価を行い、千葉県佐原市では百七十倍になっているなどの実態が各地にあります。これに対して、自治省は当然農地並み評価もあると回答しました。第三は、兵庫で「固定資産税を下げると、ペナルティーで地方交付税が減らされる」と拒否している自治体があると追及したのに対し、自治省は「地方交付税が減らされるなどとウソをつくのは問題だ」と答えました。
市街化農地引き下げ要求は無視しかし、当然なすべきことについて、要求を否定した回答もありました。一つは農用地区域から強制的に除外させておいて、宅地並み扱いにしている問題です。農用地区域から除外されても、用途が限定された農業用施設用地に対する「宅地並み評価は違法」という東京高裁の判決が出ているにもかかわらず、自治省は、この点について明確な回答を示しませんでした。 二つは、造成費の評価が高すぎて、十アール当たり二百万円など、農地並みになっても変わらないという実態に対し、自治省は「ゼロはありえない。あくまで現況による」と回答。実情に合わせた評価を要求しましょう。 また、「市街化農地が高い。毎年一割も引き上げられ、農業収入を上回る固定資産税となっており、営農ができない。引き下げよ」の要求に対し、自治省は「制度上、仕方がない」とまったく無視。「生産緑地を認めないではないか」と言っても、「他省の管轄だ」と無責任な態度。静岡・浜松市の農民が訴えた宅地並み課税は不当とした東京高裁判決に従わざるを得なかったものの、できるだけ制限しようとする意図がありありでした。
農用施設すべてに適用すべきだ交渉した五月三十日夜、自治省の課長補佐は「農民連のホームページを見ると、農業施設用地はすべて農地並みと見られる表現があり、誤解を与えているので、修正できないか」と農民連本部に電話をかけてきました。農民連本部は「私たちは農用地区域を強制除外された農業用施設用地でも、農地並みにするのが公平と考えている。農業用施設はすべて農地並みにすべきだ。農民の立場にたって市町村を指導してほしい」と回答しました。 固定資産税が高くなった根本原因は、自民党政府が日米構造協議にそって公示価格の七割に引き上げるなどの暴挙を行ったからです。固定資産税が上がれば、国民健康保険料も上がります。
要求実現へ奮闘した日本共産党それに引き換え、日本共産党は農民の要求を大事にして頑張っています。昨年以来、春名直章衆院議員(四国比例区)が農民連と一緒に交渉し、緒方参院議員が国会質問のあと、農民連の自治省交渉に二回も立ち会うなど、積極的に農民の立場にたって要求の実現に努力してくれています。 「おかげで農業施設用地が農地並み評価になって、六十万円から九万円に下がった」(千葉県酒々井町の竹尾忠雄さん)などと喜びの声を上げています。 固定資産税は農民にとって大きな負担です。収入が下がっても、税金だけは高く取り上げる自民党政治を変えなければ、農民の要求は実現しません。固定資産税も選挙の争点の一つとして、まわりの農民と話し合い、今度の総選挙では、しっかりと一票で引き下げの態度を示そうではありませんか。
固定資産税の学習会(山口農民連)山口県農民連は四月三十日、大阪府連の山口和男書記長を講師に招き小郡町ふれあいセンターで固定資産税の学習会を開き、農繁期の最中にもかかわらず十七人が参加しました。山口県市町村課は「農地転用で農用地から除外した農業施設用地は農地並み評価の対象にならない」という「連絡文書」を各市町村に出して、農地並み評価の対象をごく一部に限定しようとしています。これに対して山口県連は抗議し、撤回を求めてたたかっています。固定資産税引き下げ運動の経験豊かな大阪から学び、理論的にも強くなろうと学習会を開いたもの。 参加者は予定時間を過ぎても、山口氏に次々と質問し、熱心に学習しました。 (山口県連 金子昭二)
(新聞「農民」2000.6.12付)
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[2000年6月]
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