「すずき産地」の八細工七貧乏北茨城市から 鈴木孝夫
雑草対策、さまざま試み…アイガモ利用が絶対ラクいわゆる有機農業を、差別化のためとか、消費者へのアピールと捉える人は少なくありません。そこから、ごまかしや「認証」なんて問題も出てくるんだと思いますが、じつは農薬の最大の被害者は現場の農家自身と土壌。そう考えて、誰よりも自分のためにこそ無農薬栽培に取り組んでいます。地域条件もあるのでしょうが、うちでは殺虫剤や殺菌剤はいっさい使用しません。例えば、種モミはお湯で消毒。育苗用の土は、自分の田んぼから採取してそのまま箱に入れていますが、水苗代で管理することで病害を予防しています。
語るは涙、聞くは笑い?の雑草対策問題は雑草です。経験的に言って、雑草対策を誤ると収量はあっさり半減してしまいます。過去には、ヒエだらけになって刈り払い機で倒し、収穫皆無だったこともありました。やむをえず除草剤を一回は散布。それでも年々、使わない面積を増やしてきました。昨年は、三ヘクタールのうち、一・三ヘクタールで完全無農薬栽培。アイガモを利用しての除草がほとんどです。アイガモ以外にも、試した雑草対策はさまざまで、(1)機械除草と手取りの組み合わせ、(2)期間をおいての二回代かき、(3)米ヌカ除草、(4)紙マルチ栽培、(5)鯉の放飼などなど……。雑草対策の、しかも失敗の話題だったら、事欠きません。
「恋の田んぼにひと目惚れ」田んぼに鯉を放して雑草を抑えるというのを、うちでも試してみて、栽培した品種がヒトメボレ。一年目は、二アールほどの小さな田んぼでやってみました。秋に台風がきて、大きくなった魚が全部いなくなってしまったというオチはついたものの、雑草対策としては成功でした。 ところが、十アールの田んぼで本格的に取り組んだ三年目。わずか一週間で失敗がはっきりしました。数百尾も放したのが全然いなくなってしまったのです。犯人は白鷺でした。植えた苗の上を歩いて踏みつぶしながら、一尾残さず食べてしまいました。防ぐために網を張るとしても、上だけではダメで、横からも囲う必要があることもわかりました。アイガモを利用するほうが絶対に楽だと考えて、以降はアイガモ利用で今に至っています。
(新聞「農民」2000.6.5付)
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[2000年6月]
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