もの作り まず出荷夏場のトウモロコシに挑戦関東ネット 13ヘクタール、43万本見込む農民連・産直協の「多様な流通を共同で探求しよう」の呼びかけに応えた取り組みが、各地で始まっています。関東ブロックネットワークは埼玉・大宮市場の要請を受け、統一品種のトウモロコシを栽培して夏場の連日出荷に挑戦し、会員や作付をする農民を増やしています。近畿ふるさと産直ネットワークも大阪東部市場と懇談するなど、各ブロックで精力的に展開しています。
「トウモロコシは味と新鮮さが大切」という近藤英二さん(50)。栃木県国分寺町で七〜八ヘクタールの畑で野菜を作っている専業農家です。近藤さんは、栃木産直センター代表代行の塚原豊さんから、「農民連の組織の力で荷を切らさず出荷し、市場から信頼されている」という話を聞き、大宮市場へ出荷するトウモロコシを十アール作付けしました。
初の取り組みに意欲満まん栃木県連事務局長の海老原恒夫さんから話をかけられた上三川町の海老原史郎さん(66)は「定年後、自家用の野菜を作ってきたが、今度初めて商品にするトウモロコシを作付けした。緊張している」と語りながらも、意欲満々です。茨城・県西では、四人の農民がトウモロコシ作りで会員になっています。五十アールに作付けした結城市の専業農家・五十嵐茂さん(48)は、「家族でいいものを作ろうと、白菜を中心に栽培している。安定して出荷できれば助かる」と、呼びかけを待っていたように会員になりました。 このきっかけをつくったのは、栃木県連が「もの作り」運動の中で増やした新会員とともに行った大宮市場との懇談。安定出荷を第一にした農民連の姿勢を市場が評価し、夏場のトウモロコシ(種はスーパースイート)の出荷を依頼されたのです。
市場だけでなく生協も注目市場からの期待に応えて農民連関東ブロックネットワークは組織的な取り組みを確認、何回も会議を開き、意思統一して作付や収穫予定の計画を立て、各地で取り組みを開始。茨城・県西産直センターが事務局となり、四月十日から順次、作付を始めています。十三ヘクタール余の栽培面積で約四十三万本のトウモロコシの収穫を予定しています。市場出荷を前提に始まった関東ブロックの取り組みは、市場関係者だけでなく、東北地方の生協からも注目されています。
近畿ネット大阪東部市場を見学出荷めざし関係者と懇談近畿ふるさと産直ネットワークは五月十日〜十一日に大阪農民会館で産直協・生産物出荷情報システムの研修をするとともに、大阪東部市場のセリの視察や市場の卸会社との懇談を行いました。京都、大阪、奈良、和歌山、兵庫から二十二人、農民連本部の生産流通対策部佐藤龍雄さんも参加しました。一日目は「デジタルきらら」の今関譲次氏が「産直協・生産物出荷情報システム」について詳しく説明しました。参加者は「まずデータを入力し、システムの良さを知ろう」と確認しあいました。 二日目は午前五時から大阪東部市場で近郊蔬菜部などの活気あるセリ風景を見学。近郊蔬菜部のセリ人は「せっかく生産者が持ち込んだもの。残さんで全部せってや」と大きな声で呼びかけているのには大いに感激しました。 東部市場では取引全体の七割がセリで行われていますが、今回の市場法改正で六月からセリと相対取引の比率を五対五に引き下げようとしています。 同行した佐藤さんは「セリ風景は、東京では二十年前になくなっている。東京のように、相対取引が多くなれば、輸入農産物が増え、量販店・大型店の流通支配はいっそう強められ、買いたたきと、卸や仲卸、小売業者の経営がますます厳しくなるだろう」と話しました。 見学のあと、大阪東部市場の東果株式会社の近郷蔬菜部、一般野菜部、果実部の担当者と懇談。 東果の担当者は「近郷の果物産地が少なくなってきている。産地の掘り起こしをしたい」「地場、軟弱野菜はお店の顔。近郷中心にもっと増やしていきたい」「大手スーパーの値決めが一〜二週間前なので、価格設定が難しく、卸としては厳しい状況に立たされている」「卸売手数料自由化は死活問題だ。市場の統合、グループ化が早まるだろう」と述べました。 近郷蔬菜部の辻岡取締役は「初めから大きく構えるのではなく、少しでいいからまず出荷して、徐々に出荷量や品目を広げ、市場の信頼を獲得してください」と要望。 参加者は「それなら実行できる」と確認し、具体的に市場へ出荷するための会議を開くことを決めました。 (中津孝司)
(新聞「農民」2000.6.5付)
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[2000年6月]
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