口蹄疫補償・検査・予防策急げ北海道に飛び火 農民連など強く要求
宮崎県に続いて、北海道でも発生した口蹄疫問題は、水際でウイルスの進入を防止できなかった農水省、さらに肉価、乳価を下げ、輸入飼料に頼らざるをえない多頭飼育に追いこんだ自民党政治をきびしく告発しています。 五月十一日の発生後、北海道本別町などでは、植え付け真っ最中の畑作農家を含め農協理事や農業委員などが、懸命に蔓延防止にとりくんでいます。発生農場では、飼養牛七百五頭をすべて殺処分。その埋却費用だけで四千二百万円。また主要道路で移動する車、人の消毒がおこなわれていますが、それにかかる町と農協の経費は、発生後五日間で六千六百万円にのぼりました。 十九日の全国食健連、農民連、畜全協がおこなった農水省との交渉では、現場の声として「発生農家の経営再建のためにも、またがんばっている町民を励ます意味でも国が補償してほしい」と要請。しかし農水省は、「家畜伝染病予防法で殺処分した牛やエサの五分の四、埋却費用については二分の一を国で負担するが、その他の補償は今の法律にはない」と回答。参加した本別町の川田忠さんは「非常に残念だ。せめて現場の状況にもとづいて検討するという姿勢を見せてほしかった」と感想を述べました。 しかも農水省は、発生の確認にも、やたらと時間がかかっています。北海道の農場が、血液検査で感染の可能性があることが分かり再検査の対象になってから二十日経っての確認です。これは、日本中で一カ所、東京の家畜衛生試験場でしか調べられないから。幸い近隣の農場への感染は今のところ報告されていませんが、もしもっと検査体制が充実されていれば、少なくとも今よりは感染経路の解明が進んだはずです。 「中国の干し草が有力な感染経路と考えられる」。世界で唯一、口蹄疫ワクチンを保存する米農務省の動植物衛生検査所の研究員は、産経新聞の取材に対し、こう指摘しています。農水省は、今でも続いている中国産稲ワラの輸入を即刻ストップするとともに、公共事業偏重の農政をあらため、農家の財産の保護と営農の発展を第一に考えるべきです。
(新聞「農民」2000.6.5付)
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[2000年6月]
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