遺伝子組み換え作物畜産配合飼料から大量検出
チョウの幼虫大量死させた未承認の品種も混入問われる農水・厚生の「安全指針」大手飼料メーカーが販売している家畜の配合飼料や市販のペットフードから大量の遺伝子組み換え作物を検出。しかもその中には、米コーネル大学の実験でチョウの幼虫を大量 死させた問題の殺虫蛋白を持ったトウモロコシなど、農水省、厚生省が未承認の二品種が混入していた――。こんなショッキングな事実が、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン(以下キャンペーン)が行っている検査運動の結果明らかになりました。昨年七月、市販のスナック菓子から未承認の遺伝子組み換えコーンが検出されたのに続くもの。 この事実を認めたくない農水、厚生の両省は、市民組織や検査会社に難癖をつけ、筋違いの攻撃を加えていますが、政府の安全審査も経ない組み換え作物が日本に堂々と輸入され、流通している実態は、食品(厚生省)や飼料(農水省)の安全性指針がなんの実効性を持っていないことを白日のもとにさらしました。 同時に国際的に安全性が疑問視されている組み換え種までが続々と輸入されてくる日本の対米従属的な食糧・飼料構造を改めて浮き彫りにしています。
市販のペットフードからも今回、キャンペーンが行ったのは、家禽用三種類、牛用三種類の六種類の飼料です。家禽用のペットフーズ「ナチュナル成鶏」と日本配合飼料「バーデー」はスーパーなどで市販されているもの。鹿島・雪印・中部飼料などは、関東の畜産農家が現に使用しているものを入手し、アメリカに本社のある検査会社ジェネティックID社に依頼して分析検査を行いました。分析の結果、すべての飼料から大量の遺伝子組み換えトウモロコシ、大豆、ナタネ、綿実が検出されました。とくに殺虫性のBtコーンの混入率は、家禽用は三〇%、牛用は中部飼料が一〇%弱、雪印が一%程度混入していました。 鹿島飼料(日本配合と昭和産業の合弁会社)の鶏用の配合LM18には、九種類もの組み換え種が入っていました。 問題は、政府が未承認の組み換え作物が二種類混入していたことです。いずれも殺虫性トウモロコシで、一つは、デカルプ社の「DBT418」、もう一つは、アグレボ社の「CBH351」です。 「DBT418」は、コーネル大学の実験で、この花粉をかけたトウワタの葉を食べたチョウの幼虫が四日間で四四%も死んだという問題のBtコーンです。
この結果が発表されるとEU委員会は、直ちに販売を凍結しました。日本でもこのトウモロコシは、一般 ほ場での栽培は認めていますが、家畜の飼料用としては農水省の安全評価指針にもとづく確認を受けておらず、家畜に食べさせてはいけないという代物。これが家禽用飼料のすべてから、また牛用では、雪印に少量 ですが混入していました。 また鹿島飼料の製品からは、アグレボ社の「CBH351」が検出されました。 この組み換えトウモロコシのもつ殺虫蛋白は、耐熱性が強く、消化器系での分解能力が低いため、米環境保護庁(EPA)で問題視されている品種です。
安全確認怠る国の責任は重大日本でも「CBH351」は、食用としても、家畜の飼料用としても未承認です。これが堂々と日本に輸入され、鶏の配合飼料として販売されているのです。安全が疑問視されるトウモロコシの殺虫蛋白は、卵や肉の中にも残留し、アレルギーなどを誘発する危険性もあります。 こうした検査結果を五月二十五日、記者会見で発表したキャンペーンの天笠啓佑代表は、「本来ならこうした検査は、国や公の機関が率先してやるべきものをやらないので、市民団体が自ら検査費用を集めて、今回で六回目の検査を行った」と報告。「検査結果から組み換え作物の安全確認のシステム自体に欠陥があることか明らかになった。また農水省の義務表示案から飼料は除かれているが、飼料にも表示を義務づけ、水際でチェックしない限り、ヨーロッパなどからボイコットされたものがますます大手を振って日本に流れ込むことになる」と警告しました。
(塚平/新聞「農民」2000.6.5付)
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[2000年6月]
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