ばあちゃんの手は、魔法の手福島 佐々木健三
「ばあちゃんの手は、魔法の手みたい」――今年四歳になった孫が、ふともらした。側にいる私もなるほど、そうかもしれないと、ほとほと感心している。 今は豆腐、パン、納豆、水あめ、そしてついにチーズにも挑戦している。以前はアイス作りもやった。勿論野菜づくりはお手のもの。家の前の菜の花がいっせいに咲いたが、これもそうだ。ナタネ油も昨年は百本(一リットル)できた。 まだまだある。手作り味噌、きな粉、各種つけものなどなど、やり出すと、とことんやってしまうタイプなのだ。 私はというと、あれこれ批評したり、あちこちに届けて、自分がやった様に言って歩き、悦に入っている。 さて、今大いに張り切っているものを紹介すると、まずは、豆腐作りである。玄人はだしの出来ばえで、各方面で講師をつとめた。本人いわく、この年になって、はじめて「先生」と呼ばれたと、満更でもない様子だ。毎日の食卓に出る豆腐、大変おいしい。やはり素材の良さが大事だとつくづく感じる。 もう一つは、チーズ作りだ。出来ばえはいまいちだが、味は、バツグンだ。北海道のマイペース酪農の高橋さんに、いろいろと教えてもらい、出来上がった。技術を磨けば、当地でも可能なことを知った。 さて、次から次へと試みる我が家のばあちゃんのもの作り、いつの日にか製品化して世に出せないものかと秘かに思案している。 でもすぐに言われそうだ。「作っているのは、私ですよ」と。
(新聞「農民」2000.5.29付)
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[2000年5月]
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