「農民」記事データベース20000529-450-04

三年目迎えた大豆畑トラスト運動

多彩に広がる地域・団体参加

豆腐加工など中身も一層充実

関連/大豆畑トラストへの参加方法

 遺伝子組み換え大豆を拒否し、国産の安全な大豆を自給して、食べ支えようと始まった大豆畑トラスト運動は、ことしで三年目に入ります。

 初年度、全国で十五カ所だったトラストは、二年目で一挙に全国十八道府県五十一カ所に広がり、さらにことしは現在までに北海道から沖縄までの二十二道府県六十カ所以上に拡大。同時に、様々な階層、団体を巻き込んだ地域食料圏の確立、安全な食料自給の輪を広げるNGO(非政府組織)型の運動として広がろうとしています。

 その特徴を見ると――。


自治体など積極的に支援

 (1)沖縄では、別項のように特産「島豆腐」の原料が、遺伝子組み換えのアメリカ輸入大豆一辺倒となっているのを、コープおきなわと県農民連が提携、三十年ぶりに在来種大豆の栽培に着手、“島豆腐は沖縄産大豆で”と地域食料の復活をめざしています。

 (2)自治体が中心になって地域農業振興、集落営農、環境保全の一環として大豆畑トラストに取り組もうという動きが各地で生まれています。高知県窪川町では高知短大の行った地域調査を契機に、町の農業振興課と大学の教職員・学生ゼミが提携し、大豆産地としての確立をめざすトラスト運動を準備中です。

 すでに山形・新庄市では大豆トラストを町おこしの柱として市当局が支援し、水田トラストにも発展。

食品加工業者も期待

 (3)食品メーカーや加工業者と大豆トラストが提携し、安全な味噌、醤油、豆腐などをつくり、消費者に提供する取り組みが全国各地で進んできています。

 埼玉県の醤油メーカー「きんまる星醤油」では、埼玉、茨城の大豆トラストで生産した非組み換え大豆で「農民連醤油」を生産して販売しています。

 山梨県富士吉田市の豆腐メーカー「富士シーラー」(牛山真行社長)では、富士山の水を使い非組み換え大豆(輸入と北海道産)で「富士山とうふ」を生産、神奈川、東京などで販売しています。しかし地域循環型食品生産をめざすため、「たちながは」など地元産大豆を「いくらでも欲しい」と、大豆畑トラストに強い期待を寄せ、今年から山梨県・秋山村の農民連会員らとトラストを始めます。

 (4)商店街の活性化策の一つとして大豆畑トラスト運動に取り組む動きも活発。東京・早稲田商店会では、昨年から茨城県八郷町の生産者の作った有機大豆を街の豆腐屋さんが豆腐にし、毎月二回「マイ豆腐の日」として販売し、大好評。これがテレビなどで紹介され、各地の商店会から問い合わせが殺到。さらに同商店会が中心になって全国四十商店会とネットワーク事業を開始し、各地の商店会に広がろうとしています。

労働組合も研習で豆腐作り

 (5)労働組合が大豆畑トラストに参加し、生産者と交流するなどの動きも各地に生まれています。

 東京・品川都職労女性部では、職場で茨城県南のトラスト大豆を使って手作り豆腐教室を開いて大好評。世田谷区職労では、書記さんたちが大豆トラストに参加。昨年は組合の新人教育の宿泊セミナーで県南農民組合にいって豆腐を作り、農業と食料問題を学習しています。

 また全国一般法律・会計労組では、遺伝子組み換え問題の学習会を機に組合として大豆トラストに参加を申し込んでいます。

 このほか兵庫、山形などでは食健連としてトラストに取り組んでいるほか、新婦人、生協とタイアップした大豆畑トラスト運動が各地に広がっています。


大豆畑トラストへの参加方法

 大豆畑トラストは、消費者が一口四千円(場所によっては三千円)を出資し、十坪(三十三平方メートル)の畑でとれた大豆の現物または味噌などの加工品をお届けする方式。

 参加希望の方には、ことしの大豆畑トラスト生産地リストをお送りしますので、五百円切手を同封して左記へ申し込んでください。出来るだけ最寄りの場所を選び、回りの人を誘ってご参加ください。

 〈申込先〉〒152―0002東京都目黒区目黒本町1―10―16 日本消費者連盟内大豆畑トラスト係。または農民連内大豆トラスト係まで。

(新聞「農民」2000.5.29付)
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2000年5月

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