「農民」記事データベース20000522-449-16

ボク、この歌が好きなんだ

「菜の花が咲いたよ」

関連/「菜の花まつり」に交流の輪


全盲にめげぬ五歳児

茅野大輔ちゃん一家とその仲間たち

 ヒューマン・ファーマーズの「菜の花が咲いたよ」のメロディーにのめり込んでいる全盲の男の子がいます。千葉県八街市に住む「だいちゃん」こと、茅野大輔ちゃん(5歳)。

 だいちゃんは、一九九四年十月十九日、千葉県下で二番目に小さな赤ちゃん(六百五十六グラム)として誕生。家族や医療スタッフの願いを一身に受けて、保育器の中で六カ月も頑張りぬきました。いま、お母さんの美和さん、祖父の宮葉二三男さん(65)、祖母の菊江さん(69)に囲まれ、菊江さんの車で千葉県盲学校幼稚部へ元気に通っています。

 「だいちゃんが一人立ちしていくのに、みんなが力になろう」と今年一月に「よーい・どんの会」が発足。会の名前はおじいちゃんの発案。盲学校の運動会のかけ声が太鼓を叩いて「よーい・どん」だったから。

 会は、だいちゃんを通して道路は障害者やお年寄りに優しい道路になっているか、福祉政策はどうなっているかなどについても一緒に考え、多くの障害者と手をつないで歩んでいます。

 会が、失明にもかかわらず、元気でヒューマン・ファーマーズのリーダーとして活躍する北嶋誠さんのことを知ったのは最近。四月二十三日に結城市で開かれた「菜の花まつり」コンサートに、だいちゃんは、おじいちゃんやおばあちゃんとととも「よーい・どんの会」の会員二十人と一緒に参加しました。

 「大輔は、NHKテレビの“おかあさんといっしょ”の番組も音でストーリーがわかっている。童謡が好きで、いつもテープで聞かせている。いまは『菜の花が咲いたよ』のメロディーには、まったくのめりこんでいて、生のコンサートを聞き、大輔の反響はものすごかった」と、おじいちゃんは語っています。

 事実、だいちゃんはヒューマン・ファーマーズが曲を演奏し終わる前になると、必ず車椅子の中で手足をばたばたさせ、演奏が始まると、また静かに聞いていました。

 同会の柴田せつ子会長は「だいちゃんやおじいちゃんたちの力になっていきたい」と話しています。

 だいちゃんは、北嶋さんと会い、励ましを受けました。北嶋さんとの出会いは、だいちゃんの歩みにも大きな影響を与えることでしょう。

(西村)


「菜の花まつり」に交流の輪

 茨城・県西食健連の副会長で障害者施設の指導員をしている田中洋子さんから、四月二十三日に開かれた第二回菜の花まつりについての便りが寄せられました。

☆  ☆

 県西農民センターの会長である北嶋誠さんが失明という障害を背負ってしまったことがきっかけで、生産者と消費者が手を結び、ナタネを北嶋さん所有の畑に播き、「夢農場」と名付け、菜の花を楽しみ、ナタネ油を作ってきました。

 前日の雨は上がったけれど、足場はドロドロ、畑になった駐車場に車が埋まってしまいました。でも二百人以上の人が、新婦人や地元の障害者施設などの協力で出店された模擬店でお腹を膨らませ、ヒューマン・ファーマーズの歌声を聞き楽しんでくれました。

 “輸入ものに押されっぱなしだけれど、仲間の力で国内自給率は上げられるんだよ”といっているかのように咲き誇っている菜の花を見ていて、農業を守り、人間が大事にされる世の中にしなければと痛感した一日でした。

(新聞「農民」2000.5.15・22付)
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2000年5月

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