あばかれた恐怖の日米核密約日本政府の卑屈さ浮き彫り
「積み荷である核兵器は、船や飛行機の一部だから、据え置かなければ持ち込みではない」――こんなとんでもない密約協定が、日本政府とアメリカ政府の間で交わされていたことが、このところの国会討論で明らかになってきました。追及しているのは日本共産党の不破哲三委員長。先頃、この密約問題で報告会が開催され、その密約の全貌を聞くことができました。 不破委員長の報告は約二時間。詳細なものでしたが、聞いていてワクワクするやら、カッカするやら、アッという間に感じられました。今回の追及の大きな力になったのは、密約の“物証”ともいえる一九六〇年一月の討論記録文書が出てきたこと。これは新聞「赤旗」のワシントン支局員が今年二月、アメリカ公文書館で公開されている資料の中から見つけました。 森首相は国会で、アメリカではもう秘密でもない公文書=協定すら「知らない、アメリカを信用しているから調査もしない」と答弁していますが、密約は今でも有効。国民を愚弄(ぐろう)するのも甚だしいと怒り心頭に発したところです。 調査の経緯は、まるでスパイ小説さながら。アメリカ高官の手紙が公文書として出てきたり、岸元首相が密約を次の内閣に「引き継ぎ」せず、「墓場まで持って行った」話。しかたがないのでライシャワー駐日大使が大平外相を朝食会に招いて、もう一度密約を「思い出させた」(実は初耳だった)経緯など、まるで映画化でもできそうな「面白さ」でした。 しかし、その秘密のベールが剥がされるにつれ、歴代の日本政府の卑屈さに、抑えられない怒りを覚えました。在日アメリカ軍の増強も見て見ぬふり。非核三原則を望む国民世論すらあざむいての核持ち込み密約。いったい日本政府は誰のための政府なのだろう? 国民の声を犠牲にしてアメリカに追随する日本政府の外交姿勢は、農業を切り捨て、農産物の輸入自由化をすすめる食糧政策と、まったく同根だと怒りを新たにしました。 また、非核三原則という国の根幹に関わるような問題で密約があるのなら、WTO協定など農業分野での密約もあるのではないか?との疑念が湧いてきます。 近づく総選挙。こんな政府には必ずや審判を、との思いを強くしました。
(満/新聞「農民」2000.5.15・22付)
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[2000年5月]
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