農水省「除草剤耐性イネ」を認可モンサント社の六系統 栽培・食用(ミニマムアクセス米)として輸入も
農水省は三月十日、アメリカのバイオ国家戦略にもとづきモンサント社が日本やアジア諸国への売り込みを狙って開発をすすめていた遺伝子組み換えによる除草剤耐性イネを食用、加工用及び飼料用として輸入したり日本で栽培することを認める確認を行いました。 遺伝子組み換え農作物の環境に対する安全性確認は「農林水産分野における組み換え体の利用のための指針」にもとづいて、農林水産技術会議組み換え体利用専門委員会の審議をへて行ったもの。これまで国の研究機関や国内企業が開発したウイルス病耐性イネなどの安全確認は行われてきましたが、アメリカのバイオ多国籍企業が開発した除草剤耐性イネを六系統もまとめていっきょに認可したのは今回が初めてです。 すでにアメリカでは、九四年にWTO協定で日本のコメ市場が開放されて以来、日本の主要なコメ品種をすべて収集し、遺伝子組み換え技術を駆使して、日本人の食味に適したコメ品種の開発、日本の気候・土壌条件にあった組み換えイネの研究を進めてきました。この中には除草剤耐性のコシヒカリや水田での省力化による不耕起・直播栽培用の組み換えイネなどがあるといわれています。 食用、加工用としての輸入・販売は、厚生省による食品としての安全確認が必要ですが、飼料用としての利用や日本の水田での栽培は可能となります。 日本モンサント社は今後、厚生省に安全確認を申請し、アメリカがミニマムアクセス米の一部として輸出してくるのは必至です。 国民の主食であり、日本農業の中心作目であるイネにまで遺伝子組み換えが及んできたことは、食糧の安全保障、食糧主権を守るうえでも重大な問題です。 いま遺伝子組み換え作物・食品に対しては、安全性への不安や環境への悪影響が心配され、世界的に規制や凍結の動きが強まっています。とくに欧州連合(EU)では、昨年以来、新たな組み換え作物の認可を凍結しています。また日本が議長国となって開かれたコーデックス委員会特別部会でも、国際的な安全基準を作るための作業が始まっている最中に、農水省が日本農業に重大な影響を与える遺伝子組み換えイネの輸入や栽培を認めたことは、世界の流れや国民世論に逆行するもので、消費者、生産者などの反発を呼び起こすことは必至です。
(新聞「農民」2000.3.27付)
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[2000年3月]
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