農業者年金制度改悪 加入農家の怒り高まる「改革大綱」に賛成ゼロ圧倒的な反対の声 「意見集約」は困難に
公的年金でこれほど深刻な改悪案は、「他に例がない」と、厚生大臣すら国会で答弁(三月八日、参院予算委)せざるを得ないような農業者年金制度改悪を農水省が検討し、いま全国の農業会議、農業委員会をつうじて意見集約を行っています。 改悪案のひどい内容は、本紙の特集へ二月二十八日付)で詳しく紹介しましたが、その中身が分かれば分かるほど、加入農家の怒りが高まり、広がっています。都道府県農業会議からの意見集約は三月中旬で終了しますが、全国農業会議所などに寄せられている報告では、農水省の「改革大綱」への賛成はゼロ。ほとんどが、「三割カット反対」「現在の給付水準を確保せよ」「国が責任を取れ」と共通して要求しているのが特徴です。
宮崎25市町村農委が上京し訴え宮崎県農業会議の桑畑収二事務局長は、「財政事情は分かるが、そう簡単には承服しがたい。これは農家の責任でなく、国の責任だ。一生懸命取り組んだ所ほど苦境に立たされている。決めたことは守ってもらいたい」と政府を厳しく批判し、大綱案には、基本的に反対だという県の態度を回答したと言います。また桑畑事務局長によると、会議で上京した県下二十五の市町村農業委員会代表も農業者年金基金を訪ね、「加入者、受給者からは、詐欺だと言われている」「金(掛け金)を返せという声も出ている」「自由化や農業情勢悪化が農業後継者の減少につながっており、農政の失敗が根本原因という意見が多い」など、農水省の大綱案に対する現地のきびしい情勢や現行制度の維持を直接訴えたといいます。とくに県下でも女性の加入者の多い児湯郡川南町では、家族協定を結んで夫婦で加入し、全国表彰されたのに、これでは「脱退するから金を返せ」といった意見が多く出され、農業委員会が苦境に立っていると担当者は語っています。
北海道十勝では連合して反対北海道十勝管内では、農水省が農業会議所などを使った誘導尋問的な意見集約のアンケートには個々の農業委員会としては回答せず、十勝農業委員会連合会として一本で回答すると決定。(1)現行水準の給付額を確保すること(2)現行保険料は負担能力の限界があること(3)新農基法の下での政策年金と位置づけること(4)公的年金として推進してきた国の責任を果たすこと(5)加入促進を担ってきた地域農業委員会等の立場を充分に配慮することの五項目をあげ、絶対容認できないと回答しています。全国会議所では、三月中の意見集約をめざしてきましたが、全国的に反発が予想以上に強く、このままでは一つの方向にまとめることは不可能でる。また意見集約結果を農水省に報告し、たとえ大綱を再検討し、国会に法案を出すといっても、いつ解散があるかも分からず、このままでは潰れてしまうといった意見が強くなっています。 こうした情勢のなかで各農業委員会、市町村などでも農業者年金改悪案に反対し、国の責任で現行制度を維持するよう意見、決議をどんどん上げて働きかけることが重要です。
農民連の抗議ビラであわてて“釈明”岡山・長船町農委岡山県の長船町農業委員会が農業者年金改悪に賛成する決議をしたことに対して、岡山県農民連は二月十日に抗議のビラを町内の農家に撒いたところ、農家から批判の声があがり同農業委員会が三月六日開いた委員会で「賛成したわけではない」と釈明しました。農民連は町内の農家に手配りで配布。ビラを撒いた組合員は「これで農民連の権威があがった」と、宣伝すればすぐに現れる効果に自信を深めています。 (岡山県連 中庭克之)
(新聞「農民」2000.3.20付)
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[2000年3月]
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