国際シンポ参加者のひとこと
*飯野良治(茨城・阿見町有機センター) 五人のパネラーの報告に共通することに驚き、WTO体制のもたらしているものが明らかになった。アメリカなどの輸出国にも深刻な環境破壊と農家の経営難に陥っているというマーク・リッチーさんの報告には驚かせられた。 速水さんの報告でも木材の自由化のもたらしたものは、森林環境の悪化、地球の温暖化にもつながっているという。国内林業は一九六五年の木材価格を下回りながら、経営が成りたなくなっている。 農産物の自由化体制は、輸出国が耕地の砂漠化をもたらし、ダンピング輸出で、生産者が泣かされ、消費者が苦しむ結果になっています。これは日本の置かれている状況と酷似しているのは偶然ではないように思います。 アメリカで拒否されている遺伝子組み換え作物を日本が大量に輸入し、「食の安全」への危険が高まっています。各国の農民が連帯してWTO協定改定の方向ができることが確認されたと思います。 *岩根英則(島根・瑞穂農民連) 田舎で忙しく農作業をしていると、なかなか視野を広げられない。広くものを見ることができなくなるようです。国際シンポに参加して、広い見地で自分の農業、地域の農業を見ることができます。 イタリア、韓国、アメリカの代表の話を聞き、同じように苦しみ頑張っていることがわかりました。根本原因がわかり、世界の農民と手をつないでいけることの重要性を痛感しました。 *山川秀正(北海道農民連) 各国のバネリストの話を聞くと、苦労して農業を続けているのは、日本の農民だけでないということがわかった。 世界中の家族農業経営に苦労を押しつけている根源がWTOそのものであることを深く理解できた。 環境を守る課題に係わるコストは、農民も消費者もともに手をたずさえて生み出していかなければならないと思う。地域に帰っても、その視点を忘れることなく、運動を構築していきたい。 外国から参加されたバネリストの年齢を知って、自分自身がもっとしっかりしなければならないと思い、同時に、若い農業後継者を農民連に迎える努力を始めなければと強く感じた。 *浅野奈緒子(岩手県二戸市) “WTO協定の抜本的な改定を”という流れは、シアトル、バンコク、そしてこの日本でも目にみえる形で大きくなっているのだ。 私は、つい数年前までアメリカのアグリビジネスに立ち向かうこと、日本の農業政策の根本に立ち向かうこと、市場原理を追求したグローバリゼーションに立ち向かうことは巨大な壁にぶつかっていくかのような気持ちでいた。 しかし、その根本を変えるために立ち向かっている仲間は日本中に、そして世界中にいるのだ! この国際的な流れを生で感じることで、私はますますふるい立つ。オノラテイー氏の「レジスタンスはいつも、大きな視野をもった小さなグループから始まった。どんな国際的な行動も小さな行動からしか始まらない」という言葉に勇気づけられた。 地に足をつけた農民運動とは何なのか、しっかりと岩手の県北の農民とともに運動をしていきたい、と切実に感じたシンポジウムだった。
(新聞「農民」2000.3.20付)
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[2000年3月]
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