「農民」記事データベース20000320-442-02

自主流通米

入札の値幅制限復活を

食糧庁へ農民連が緊急申し入れ

関連/自主流通米入札の値幅制限の復活を求める要請書


 米価暴落の当面の打開策として、自主流通米入札の値幅制限を復活、大資本の買いたたきをおさえてほしい――農民連の代表は三月十日、食糧庁計画課の本川一善課長に会い、緊急申し入れを行いました。

 政府が史上最大の減反やエサ用投げ売りを強行したにもかかわらず、米価が低下の一途をたどっているため、関係者の間でも「値幅制限の回復」が検討されています。この日の申し入れは、こういう事態を受けて緊急に行われたもの。

 農民連の谷口一夫事務局長らは(1)九七年に自主流通米入札の値幅制限が七%から一三%に緩和され、九八年に値幅制限自体が廃止されて以来、大資本の買いたたきによって米価が暴落し続けていること、(2)史上最大の減反の継続に加え、農水省が“米価回復の決め手”と銘打ってエサ用投げ売りを強行したにもかかわらず、米価は回復するどころか低下の一途をたどり、暴落前に比べて一俵(六十キロ)五千円も下がっていることを指摘。こういう買いたたきをおさえるためには、大資本が買いたたきをねらっても、一定の下落の幅でストップをかける「値幅制限」の復活こそが求められている――と強調しました。

 本川課長は「(エサ用投げ売りを決めた)九月以降も米価が下がり続けていることについては考えあぐねている。なぜ下がるのか調査したい」と述べる一方、「値幅制限の廃止は農業団体の賛成も得て実行したと聞いている。いまさら値幅制限復活というやり方が関係者の納得を得られるかどうか疑問だ」とも述べました。

 これに対し、農民連側は「値幅制限を廃止して市場原理にゆだねたのが暴落の直接の原因であり、農民連は最初から反対してきた。主食である米の価格が異常に上がり下がりすることは農民の経営にとってはもちろん、消費者にとっても被害が大きすぎる。だからこそ、自主流通米市場制度ができた一九八六年以来、値幅制限が実施されてきたはずだ」と指摘し、「値幅制限以外に何か有効な手だてがあるのか」と、重ねて検討を求めました。

 本川課長は「値幅制限復活も選択肢の一つとして、今後検討したい」と述べるとともに、米の原産地表示が始まる来年四月に向けて外米混入をチェックする手だてや遺伝子分析を行うことなどを検討していることも表明しました。


自主流通米入札の値幅制限の復活を求める要請書

 一九九七年に自主流通米入札の値幅制限が七%から一三%に緩和されたのに引き続いて、一九九八年には値幅制限自体が廃止されて以来、自主流通米価格は暴落の一途をたどり、ことし二月の入札平均価格は一俵一万六千七百七十九円(全銘柄平均)で、価格下落の局面に入った九四年(二万千三百六十七円)に比べて約五千円も下がっている。農水省調査による米生産費は全算入・全国平均で一万九千円強であるから、農民は恒常的に赤字生産を強いられていることになる。

 しかも“米価回復の決め手”と称して押しつけられている減反拡大のもとでも米価は回復するどころか、実質的には下がり続けているのが実態である。

 輸入しながらの減反拡大とまったく引き合わない生産者米価――こういう事態が続けば、国民の主食である米の安定供給自体が重大な危険にさらされ、日本農業の存続に重大な打撃を与えることは必至である。

 これでは、三月に決められる「自給率“向上”計画」(新農基法による基本計画)はむなしい画餅に帰すことはまちがいない。

 いま、関係者のあいだで自主流通米の暴落対策として値幅制限の復活が検討されていると伝えられるが、私たちはその真剣な検討を要望するものである。

 「やっぱり食べたい日本のお米」という圧倒的多数の国民の声に応えるうえでも、深刻な不況を打開するうえでも、左記事項を実現するよう強く要請する。

 一 自主流通米人札の値幅制限を、緩和した前年の一九九六年の価格を基準として復活させ、大資本の買いたたきをやめさせること。

 二 根本的な米「過剰」対策として、ミニマム・アクセス米輸入を中止するか、海外援助に回すこと。

  二〇〇〇年三月十日

     農民運動全国連合会
   農林水産大臣
    玉沢徳一郎殿

(新聞「農民」2000.3.20付)
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2000年3月

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