大商社や多国籍企業の輸出入品税関をフリーパスに政府「関税法改悪案」強行成立ねらう「特例(簡易)申告制度及び港湾の規制緩和問題を考える懇談会」が三月一日に全国食健連などの主催で開かれ、農民連も参加しました。懇談会は、政府が三月半ばに関税法改悪案を衆院で強行しようとしているなかで、改悪の本質を国民に知らせ、改悪反対の運動を盛り上げようと開かれたもの。
検査廃止で安全チェック困難に改悪案は、アメリカや財界のいいなりになって多国籍企業や大商社の輸出入品が税関の検査をまったくせずに、すぐ品物を引き取れるようにするものです。一番大切な水際での安全チェックを困難にし、国民の危険を増大させるだけです。港の業者や働く者にとっても輸入業務を急がされ、港におちる賃金は削られ、港での仕事が取り上げられることになります。いまでも税関の検査は少なく、全輸入量の三・六%しか実施していません。それを今度は指定された輸入者(商社)と品物についてはまったく検査なしで税関を通せることになります。こんなことは初めてです。 税関が検査をしないとなれば、何を入れてくるかわかりません。密輸やニセ物、ごまかしのやり放題になることは明らかです。O157や狂牛病などの病原菌、農薬入りの食品の安全チェックができなくなり、危険な薬品や爆発物、覚醒剤や麻薬、拳銃が入れられてきてもわからなくなります。現に古紙だといって産業廃棄物がフィリピンに輸出され、大間題になったばかりです。 わずかばかりですが、税関の検査が行われている現状でもこの始末です。まして検査をしなくなったら、どんな事態になるかはかり知れません。 大商社の利便のために税関の検査をやめる改悪案は国民の安全をまったく無視したものです。国民は検査の中止という改悪ではなく、いま野放しになっている遺伝子組み換え食品や危険な輸入食品を厳重に検査することを要求しています。本質を知らせ、世論で改悪をやめさせることが、緊急に求められています。
(新聞「農民」2000.3.13付)
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[2000年3月]
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