ゴミ減量化で町を活性化東京・早稲田商店街の取組み 商店街が大手量販店の進出で苦境に立たされ、街がシャッター通
りになって荒れていく。そんな商店街が増えているなか、「空き缶集めてハワイへ行こう!」――をキャッチフレーズに「エコ」を街の名物にし、商店街活性化に取り組んでいるのが東京・新宿区の早稲田大学周辺商店街です。昨年からは商店会として大豆畑トラスト運動にも参加して農村と交流、大豆が変える早稲田の町づくり――「MY豆腐作戦」を展開。その模様がテレビでも紹介され、各地からの視察が後を断ちません。国際シンポジウムが早稲田大学で開かれたのを機に茨城、北海道農民連の代表と商店会会長の安井潤一郎さんを訪ねました。 (塚平)
トラスト大豆で「MY豆腐作戦」展開生ゴミのリサイクルで味噌加工もまず「エコ」からの「まちづくり」を紹介しましょう。早稲田の商店街は、三万人の早稲田大学の学生が主な顧客です。ところが毎年夏休みになると、人口が半分以下になり、夏休み中は店を閉めてしまう商店も多かったといいます。 空き缶、ペットボトル回収機に人気そこで商店街の「夏枯れ」を打開しようと、実行委員会を組織して一九九六年から大学のキャンバスを会場に、市民、学生、大学、リサイクル団体、行政なども巻き込んで「エコサマーフェスティバルin早稲田」―「環境と共生、今早稲田から」をサブタイトルにイベントを行って大成功しました。それ以来、恒例の行事として定着し、「ゴミゼロ作戦」「リサイクルによるまちづくり」へと発展してきました。 商店街の横町を少し入っると、空き店舗を利用した「エコステーション」があります。空き缶 ・ペットボトル回収機をはじめ生ゴミ処理機、廃食油処理機などを設置。空き缶 回収機は、空き缶を入れてゲームに当たるとラッキーチケットが出てきて、希望のサービス券がもらえるというもの。壁にはそれぞれの商店が協賛して「餃子一皿サービス」、「豆腐一丁サービス」「ハンバーガー買ったらコーラーSサイズ一杯サービス」などのビラが張られています。なかには「マージャンお一人様一時間無料券」(雀荘)、「歯の相談一回分無料」(歯科医院)といったユニークなものまで。このラッキーチケットが商店街に与えた効果 は、「いままで来たことのないお客さんが増えた」ことだと言います。 また「エコステーション」は子どもたちに大人気。修学旅行の名所の一つにもなっています。安井さんは、「街がきれいになり、活気づくと、スーパーにたむろする子どもは一人もいなくなり、非行もなくなった」と、胸を張ります。 国産小麦で「MYパン」も検討中
一方、生ゴミ処理機で作られたコンポスト(堆肥)は、福島県奥会津の金山町が町の予算で全部買い取り。この堆肥で作った花やハーブを始め、有機大豆による寒仕込み味カイとなって帰ってきて街で販売されます。この商店会が大豆畑トラスト「MY豆腐作戦」を昨年から始めたのは、新聞に載った大豆トラストの記事を見てから。「これは面 白い。町の活性化に役立つ」と申し込み、商店会の会員が一人四千円でオーナーになり、茨城・八郷町の農家につくってもらった有機無農薬、非遺伝子組み換え大豆六キロを入手。これを町の豆腐屋さんに渡して天然にがり使用の豆腐二十四丁(六キロの大豆で四十八丁できるが、半分は豆腐屋さんの手間代)をもらうという仕組み。出来上がった早稲田ブランドのマイ豆腐は、商店街が引き取り、毎月二回を「マイ豆腐の日」にして契約したお客さんに渡します。店側では、お客さんが豆腐と一緒に欲しがるような商品を販売するのは各商店の知恵の見せどころだと言います。 安井さんは、この「マイ豆腐」から「マイ納豆」「マイ油揚」、さらには国産小麦を使った「マイパン」作戦も検討中。「日本の農村は、どこへ行っても宝の山だ」「安全で、美味しく、きれいになるものを作れば、みんな頭を下げて買いにくる」「商店街のアーケードで開店前に朝市をやったら」などなど、アイデアがぽんぽん飛び出します。 北海道・茨城の仲間と懇談も
安井さんは、各地の商店街や自治体から「活性化のために大豆畑トラストをやりたい」という話が来ているといって、北海道農民連の代表に十勝の浦幌町の商店会を紹介してくれました。農民連からは「北海道の小麦ハルユタカをマイパンにどうでしょう」と。 また茨城県南農民組合の小林恭子さんや茨城ネットの代表からは、県南のトラスト大豆や有機米、農民連醤油などを商店街で扱えないかと話しあい、見本を置いて帰りました。 (安田さんのアイデアいっぱいのまちづくりは『スーパーおやじの痛快まちづくり』(講談社刊)として出版されています)
(新聞「農民」2000.3.6付)
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[2000年3月]
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