WTO協定改定要求を世界の大流に!会場にあふれる共感・感銘・確信
国際シンポジウム開く21世紀の食と農、環境を守ろうパネリスト5氏が報告 海外の三氏に熱い拍手
「ヨーロッパでもアメリカでも韓国でも日本でも、同じように苦しみ、同じように頑張っていることを肌で感じ、勇気がわいた。世界の農民は手をつなぐことができる!」(島根・瑞穂農民連の岩根英則さん)。 こんな思いを共有した「WTOに関する国際シンポジウム WTO協定は改定できる!」が二月二十〜二十一日、東京・早稲田大学国際会議場で開かれました。ヨーロッパ、アメリカ、韓国、日本のNGO(非政府組織)と農民組織のリーダーをパネリストに招いて開かれたシンポには、農民、労働者、消費者、研究者、NGO活動家、大使館関係者など多彩 な人々が六百五十人以上参加し、第二会場も満杯。 パネリストも「フェアですがすがしいシンポジウムだった」(マーク・リッチー氏)、「ヨーロッパにはないダイナミックな運動に感銘を受けた」(アントニオ・オノラティー氏)と評価したこのシンポジウム。 「市民の力で開いた世界に誇れるこのシンポジウムで、WTOのもとでの弊害が全世界的・全面 的なものであり、WTOのルールを根本的に改定する必要があることで一致した」(暉峻衆三コーディネーターのまとめ)――シンポは大きく成功したといえるでしょう。 大内よびかけ人代表が開会あいさつシンポジウム呼びかけ人代表の大内力東京大学・信州大学名誉教授が開会あいさつを行ったのに続き、パネリストからは、農業と食糧の危機的状況が深刻化していること、しかしシアトルでのWTO閣僚会議の破綻も“追い風”にWTO協定を根本的に変えようという運動が強まっていることがリアルに報告されました。 イタリア、アメリカ、韓国の三氏が報告「食糧主権は国際的に認められるべき基本的権利であり、輸入から保護する措置が必要。WTOは食糧や農業を扱うにはまったく不適切な機関」(イタリア、96年ローマ食料サミットNGOフォーラム議長のアントニオ・オノラティー氏) ◇ 「WTOのもとでアメリカ農業も危機に陥り、離農、自殺、家庭崩壊が相次いでいる。三月には国会を包囲する行動が行われるが、最大の要求は価格保障。WTOを変えよという機運が広がっている」(アメリカ、マーク・リッチー農業・貿易政策研究所代表) ◇ 「自由化によって価格破壊が進み、農民は生きる意欲を失っている。WTOはアメリカを中心とする先進国が第三世界の民衆を収奪し、世界の富を独占するための機関。韓国ではあらゆる分野の四十三団体が加盟する『投資協定・WTO反対国民行動』の運動が強まっている」(韓国、劉相郁全国農民会総聯盟事務総長) 質問、発言も活発会場からの質問・発言も活発で、十七人の参加者が農と食、環境、林業を守る地域での運動や、このシンポに先立って開かれたバンコクでのNGOフォーラムの模様を紹介しました。 「共感」「感銘」「確信」――約七十人の参加者が寄せた感想文には、こういう言葉が並びました。 うちひしがれ、むしろ諦めが支配的といっていい状況のなかで、世界でも日本でも民衆は孤立しているどころか、連帯し共同できる農民と消費者、市民が世界中にいること、シアトルから始まった流れが東京でより強力なものになり、世界の大流になる日は必ず来ることを、シンポジウムでの交流は力強く示しました。
「ようこそ!」和やかに歓迎レセプション「ようこそ!」――イタリア語、韓国語、日本語、英語…掲げられた横断幕も色鮮やかに、二月二十日の夜、国際シンポジウム記念レセプションが開催されました。アントニオ・オノラティー、劉相郁、マーク・リッチー、速水亨、小林節夫の各氏をはじめ、学者・研究者、民主団体や労働組合、NGO、各地の食健連や農民連から約百人が出席、シンポの成功を祝いました。 マーク・リッチー氏は、「シンポでは国は違っても問題は共通で、共同して運動できることが再確認できました」とあいさつ。劉相郁氏もシアトルでのNGOマーチ式に「ノーノーWTO!」と掛け声をかけて威勢よくあいさつ。会場は終始、和やかななかにも熱い一体感に包まれました。 別会場では農民連会員の交流会も開催され、約百人が参加。WTO協定改定の世論と運動を発展させる決意を新たにしました。 葱先のいきおい残し雪積る
(新聞「農民」2000.3.6付)
|
[2000年3月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2000, 農民運動全国連合会