自主計算・集団申告で確定申告 不当課税に反撃相談会など活発、入会者も出る/宮城
二月十六日から平成十一年度の確定申告の受け付けがスタートしました。今年度から「農業所得標準」を原則廃止して収支に切りかえる広島、福岡国税局に続き、来年度は他の国税局でもこうした動きを強めています。 税務署は、標準廃止の動きのなかで「税金相談」と称して農家を集め、いきなり収支計算を押しつけ、農家が「急に言われても」というと収入金額だけを聞いて推計課税で多額の税金を取り立てるというやり方をすすめています。 平成十二年度から標準を廃止する仙台国税局管内の宮城県石巻税務署は昨年十一月、矢本町で標準表によって役場に申告した農家五十戸を呼びだしました(住民税の申告だったため所得税は無申告ということで)。 この動きを知った現地の農民連組織と県連は、さっそく宣伝し、相談会に集まった七名が会員になって計算ノートを使って収支計算を行ない、十二月に集団で事後申告を行ないました。税務署は、この七人に対して確定申告直前になって税務調査を開始。調査では、「領収書のないものは経費と認めない」という不当な態度。こちらは、仲間の立ち会いも行って税務署の不当な対応に反論し、たたかっています。 表は、桃生郡のT・Sさんを例に、本人が当初行った標準による計算、税務署が行った計算、農民連が収支計算に切りかえて行った計算です。税務署ベースでは、本来ゼロの税額が二十五万千四百円になってしまいます。これに無申告加算税、延滞等が加わり、更に役場からは住民税や国保税が加算されますから、本人が負担する額は所得税額の倍から数倍にもなってしまいます。
矢本町では、昨年暮れに呼びだしに応じて税務署のベースで申告した人には、年末から年始にかけて国税、国保税・住民税などで百万円にも及ぶ納付書が相次いで届き、これに驚いて「十一年度からは農民連で」と四人が加入しました。 宮城県連では、標準から収支への切り換えは農家からさらに税金を取り立てるためのもの。相談会のチラシを広く配付して取り組みを強めようと呼びかけています。 農家は米価など、あらゆる農産物が暴落、低迷し、これに加えてた徴税攻勢に苦しんでいます。標準廃止という事態のなか、従来の枠を越えた、文字通り全農家対象の取り組みが求められています。農家に「農民連に入って一緒に暮らしと経営を守ろう」とよびかけましょう。
(S/新聞「農民」2000.2.28付)
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[2000年2月]
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