「農民」記事データベース20000221-438-03

荷が集まらず低迷する地方卸売市場

―栃木・中央青果 鈴木社長にきく―

 「地方の市場に荷が集まらなくて困っている。元気よく活動している産直センターの話を聞きたい」栃木県小山市にある栃木県中央青果の鈴木広彰社長と安納誠一野菜部長が、茨城県西産直センターを訪れました。経営危機に陥っている地方卸売市場。苦境を打開しようと模索をしている中で、ワラにもすがりたい思いで農民連・産直協に期待を寄せる鈴木社長の思いを聞きに二月五日、小山市を訪ねました。


産直センターのやり方に学びたい

 「地方市場は全国どこでも低迷して困っている。それに比べ、県西産直センターは生産者に作ってもらうものを決め、きちんと売り先も持っているから安心していられるのだろう。だから生産者を増やし、売り上げも伸ばしている」と語り、何度も「産直センターから学びたい」と繰り返す鈴木社長。

 栃木県南地方卸売市場は、栃木市、小山市を中心に二市八町にあった五つの青果と水産、花きなど八つの市場を統合して一九九三年九月に八十四億円をかけて開設されました。

農協の大型合併で集荷が困難に

 五つの青果市場が合併する前は七十五億円の売り上げがありましたが、現在は五十五億円。開設当初は百億円の売り上げをめざしていましたが、九四年から九六年までは六十五億円とほほ横ばい。それ以降、年々売り上げが低下しています。

 その原因について鈴木社長は「農協が大型合併され、市場への出荷も指定されており、なかなか荷が思うようにこない。コンテナ一杯分とか大量に仕入れるならば、指定されなくても出荷してもらえるが、そんな大量な荷をさばくことができない。どうしてもほしい荷は、宇都宮市場を通じてしか入らず、当然のことのように転送されてくるために運賃がかかり、高くなってしまう。だから、他の市場よりも同じ品物でも高くなってしまうので、売れない状況に置かれている。同じ値段で売ると、運賃分がもうけに食い込んでくることになる」と、地方卸売市場の苦しい実態を語ります。

全国ネットワークに大いに期待する

 さらに鈴木社長は「市場の価格が地震のグラフのように上がったり下がったりしているので、生産者は値段のいい市場に移動してしまう。実際に若い生産者グループが茨城県八千代町に三十人ほどいたが、われわれの市場へ出荷しなくなった。ところが、そのグループの中心メンバーが県西産直センターに移っていることがわかった。産直センターは『時流に乗っている』と思う」と語ります。

 農民連・産直協が全国から埼玉県の上尾市場の農民連コーナーに出荷している取り組みを紹介すると、鈴木社長は身を乗り出し、「全国から出荷されるなら願ってもないことだ。ネットワークを活用できるなら、大いに助かる。大いに期待したい」と明るい顔になりました。

 びっくりするほど駐車場も広く、建物も大きい栃木県南地方卸売市場。敷地面積約三万四千坪に約八千四百坪の建物は、ゼネコンがもうけるために作られたものとしか思えないシロモノ。

 鈴木社長も「大きなものを作りすぎた。いまの半分で間に合う状況だ」と述懐しています。そのうえ、家賃が月五百万円、年間六千万円も支払わなければならず、経営上も大きな負担となっています。

 鈴木社長が県西産直センターを訪問したのは、新聞「農民」読者の仲立ちです。新聞の購読を訴えると、快く約束してくれました。

(西村/新聞「農民」2000.2.21付)
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2000年2月

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