C.情勢と期待に応える組織強化・拡大を【1】新聞「農民」を先行した拡大は、運動と政策の推進、組織強化の土台自分自身が日頃もっている悩みや要求、対話の中で出された地域の人たちの関心と思いを念頭に置き、「これだ」という中身を新聞「農民」からつかんでいれば、いつでも気軽に働きかけることができます。また、自分の地域の話題や動きが掲載されているほど拡大はやりやすくなるし、読者からは載っていなければ地域の農民連は何をしているのかと問われるようになります。そのときに相手の関心や要求がどこにあるのかも分かります。こうして運動や政策が知れ渡り世論が高まり、運動が進みます。地域から出される意見や運動と全国的な悪政の分析が相まって、どうしたらよいかという政策が発展します。 ある県では、読者から「いいことを言い、やっているが、なんでこの県連は数が少ないのか。もっと多ければ全面的な信頼をもって共同できるのになあ」と言われました。会員の中からは「全国ではこんないいことをやっている。私らもやりたい。県連はなぜこの方針をやらないのか」と言われることもあります。新聞「農民」は、組織と会員をつなぎ、組織を改善する手だてにもなっています。 今度の新聞「農民」を先行した拡大で、千部を展望できる県連や単組がかなり増えました。千部ならば還元金が毎月十五万円入ります。これは不景気に関係なく安定した収入となります。県連の維持や新たな専従者の配置など積極的な組織と財政のためにも新聞「農民」を先行した拡大は役立つのです。
【2】紙面改善に積極的に取り組もう読んで面白い、ためになる、読んで元気な農民連を知り、共感し、元気をもらえるなど、生産者・流通業者・消費者からの声が届いていますが、同時に「難しい」「疲れて帰ってきても気軽に読めるようにして欲しい」という要望が届いています。本部はこれに応えるために編集体制の強化とあわせて全力をあげます。すべての県連・単組・班・会員の声と力を寄せていただけるようお願いします。本部ではこれまでの良さは生かしながら、隣のおじさん、おばさんが手にとったとき気軽に読もうという気が起きるような紙面を作りたいと考えています。これは頭でひねり出すことのできる課題ではありません。もちろん本部・編集部で企画を考えますが、具体的にどういう声や意見があるのか、その人たちが何を求めているのかについて、現地の対話の中から具体的な意見を寄せて欲しいと思います。もともと新聞「農民」は「みんなで作ろう、もの言う農民」をスローガンにやってきましたが、この精神を発揮して提案と記事を寄せましょう。
【3】大志をもった目標をみんなで決めよう1.この冬、さしあたって急ぐことを進めながらまず、今年の作付計画を班・支部でしっかり話し合いましょう。これは毎年強調しなければならないことですが、特に販路が広がり、期待が高まっているいま、失敗すれば逆に信頼をそこねる問題です。税金闘争は、これまでの農業所得標準方式中心から収支計算方式中心に切り換えようとする新たな事態を迎え、すべての農民が対象になるときです。まず、仲間の記帳を進めながら大宣伝と対話を進めましょう。 これからますますひどくなる固定資産税・相続税の課題も、これまで切り開いた条件を生かし全国的たたかいに発展させましょう。 これらの対話・懇談は、すべての農民を対象にすることが必要です。女性や高齢者の出番です。青年が講師を買って出るときです。 この運動のつながりで、多様な要求もどんどん組み入れ、新聞「農民」を先行して、意識的に会員の拡大を進めましょう。
2.具体的な計画と対象者を決めて運動の中で計画と対象者をみんなで出し合いましょう。また、農業者年金が大問題になります。受給者、認定農業者すべてを目標にしましょう。これまで当たりきってない農協、農業委員会、自治体、議員はすべて目標にあげましょう。秋田のようにすべての地域の読者比率を明らかにし、新たな目標を設定し奮闘しているところもあります。
3.一番大事なことは班や単組の大志をもった自主的な目標が、みんなの納得で決められ、県連はその達成のために援助を惜しまないことです。全国連も全力をあげて援助をします。今年中に全国で少なくとも数万の新聞「農民」を拡大しましょう。
4.配達・集金問題は単なる実務ではない配達・集金の問題があるために、力持ちの活動が鈍ってしまうという話が全国にあります。会員の計画的な拡大と分かち合いが大事です。また、郵送の手だて、集金の口座引き落としのやり方、可能ならば半年・一年分の集金など工夫して早期に解決しましょう。
5.あらゆる運動の中で会員拡大の追求を(1)新聞「農民」を先行した拡大を新聞「農民」を先行して拡大した昨年の経験は、多くのことを教えてくれました。(1)あまりにも農民連が知られていないこと、市民権が得られていないこと、恐ろしい団体だと思っている人がいること、(2)ところが新聞「農民」を見せて対話を進めれば誤解が氷解するだけでなく、「今どきこれほど熱心に営農から日本農業について運動している団体は見たことがない」という共感が急速に広まり、世論も変えたことでした。仲間自身が変わりました「農民はすべて仲間だ。われわれの方が壁を作っていた」と。 読者に働きかければ運動に手を貸してくれるだけでなく、気軽に呼びかければ会員になってくれることも体験しました。会員拡大の大きな条件を切り開いたのです。 (2)大志をもった目標、会員拡大の独自の計画推進を 新聞「農民」を先行するから、会員は後回しと言っているのではありません。新聞「農民」を先行した拡大を堅持しながら、会員は独自の目標と計画をもって進めなければ、自然成長にしかなりません。数十万農民連の建設をめざした大志をもった目標、当面の目標をキッチリ立てて推進しましょう。市町村単位の空白克服をすれば、自治体への働きかけにも迫力を増し、要求実現につながります。 (3)団体加盟の探究と努力を これまでの経験から明らかなのは(1)どんな生産組織や農業関連団体も大きな苦悩を抱えていること、(2)その地域や分野で大きな影響力をもっていること、(3)財政力はバラバラであることです。働きかけの基本は、日本農業復権のために力を貸して欲しいことを訴えることにあります。団体会費は財政の実情をよく聞き、農民連組織の実情も話して協力を訴え、納得のいくものにすることが大事です。 (4)会費の工夫を ある県では、一定の会費額に売り上げランクに応じた額を会費としてプラスすることで二年がかりの課題を解決したそうです。 安ければよいという発想ではありません。情勢に対応できる大きな運動、大きな組織に発展するために、全国連も県連も単組も支える財政が必要であることを出発点に、会員が納得のいく会費のあり方にするにはどうしたらいいか、すべての会員に呼びかけ、話し合いを続けた成果です。 中には曲解する人もいます。「会費は安ければよい」といっているのではなく、多数を結集するために、一緒に活動したいという人や団体が会費の額で加入できないということのないように会費のあり方を探究することをよびかけ、新聞「農民」でも紹介したのに、この際、みんな一度脱退して団体加盟で入り直そうとか、会費会員を減らして登録し直そうという事例があります。これは、意識的か無理解かは別にして、結局、組織の団結や財政に打撃を与えることになります。こういうとらえ方をしているところでは、当然ながら新聞「農民」や会員の拡大はきわめて消極的ですし、運動や政策も全国から学ぶのではなく、我流で、先細りをたどっています。
【4】組織をつくりかえる気概をもったたたかいを展開しよう決議案には、どんなことのできる組織にするかという項目をあげてあります。よくみると組織としては当たり前のことなのです。しかし、これをやるにはなぜこのことが必要なのかを役員会でよく討議すること、どうしたらできるのかを全国の経験から学び、会議ごとに意識的に討議課題とすることが大切です。 特に、書記長・事務局長、三役の意識的な努力が求められます。その推進にあたっては、「学習テキスト」にあるように、請け負いをやめ、会員一人一人まで相談をもちかける勇気と努力をすることが鉄則です。
【5】学習なくして運動と組織の発展は望めない、学習運動を定着させよう「さあ学習しよう」といっても、問題意識のないときには学習は進みません。一人でやろうと決意を固めても、意志の弱さに泣かされます。サークルを作っても余程でないと忙しさで消滅する憂き目にあいます。学習運動が長続きしているのは、会議をきちんとやることを前提に、必ず会議のなかで「学習テキスト」の読み合わせなどしているところ、新聞「農民」を会議ごとに話題にし、感動を出し合って運動の糧にし、記事も送ろうと決めているところ、組織の最も共通する課題を突破するために、学習会を設定することを系統的に進めているところなどです。これらの事例から学んで進めましょう。
終わりにあたって私たちは昨年の運動からどこにも前進できる条件があること、たたかえば驚くほど早く共感が広がり、変化が起こることを確信しました。世界の農民との連帯の可能性がいかに大きいかが実感できました。農民連への期待は、われわれの予想を超えるものがあります。この情勢と期待に応えられる組織につくりかえる気概をもったたたかいも始まりました。 こうして、これまで大変困難と思われていたWTO協定の改定や自自公政権の悪政をくい止めることが、現実的な可能性をもつ転機を迎えました。 今の時代の特徴は、多国籍企業や日本の大企業が、自らの利益だけを追求し支配していることによる矛盾がますます深まり、支配されている大多数の人たちや途上国が連帯できる必然的な条件が深まっていると同時に、たたかわず黙っていれば、より厳しい苦悩が強要される点にあります。 国内外のたたかいによって、一握りの独占とこれを代弁するアメリカ政府や自自公政権を追いつめることができる時代に入ったのです。二十一世紀の食糧と農業の展望を切り開くために、これまでの前進とたたかいで切り開いた情勢に確信をもって、運動と組織の飛躍をめざそうではありませんか。
(新聞「農民」2000.2.7付)
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