WTOに関する国際シンポに高まる期待多彩な顔ぶれよびかけ人・パネリスト
「シアトルの再現を日本で」二月二十、二十一日に開かれる「WTOに関する国際シンポジウム」への期待が高まっています。 同シンポの呼びかけ人は大内力・東大名誉教授をはじめ、大石武一・元環境庁長官、映画監督の山田洋次氏、作家の山下惣一氏、さらに日本のNGO(非政府組織)を代表する佐久間智子・市民フォーラム二〇〇一事務局長、岸本聡子・アシードジャパン事務局長など三十五氏。(国際シンポ呼びかけ人氏名) パネリストは、ヨーロッパ、アメリカ、アジアで、第一線で活動する顔ぶれ。アントニオ・オノラティー氏(イタリア・NGOクロチェビア代表)は、九六年のローマ食料サミットでNGOフォーラム議長を務め「食糧主権」と「WTO協定の見直し」を明記した宣言をまとめた中心人物。 オノラティー氏は、十月にローマを訪れた農民連・食健連・AALA代表団を心をこめてもてなし、食料自給率が異常に低い日本が、四割近い減反政策をとっていることに対して強い驚きを表明。「食糧安全保障は途上国の問題だと思っていたが、みなさんの話を聞いて認識を新たにした。シンポジウムでは先進国にも視野を広げ、地球レベルで食糧安全保障について話し合いたい」と語っています。 アメリカから参加するマーク・リッチー氏(農業・貿易政策研究所代表)は、多国籍企業とアメリカ政府の横暴に反対して行動するNGOの代表的人物で、シアトルでも「世界食糧・農業デー」など数々の行動を主催。「WTOの農業ルールは変更されなければならない。シアトル以後、状況は完全に変わった」とのべる同氏は、シアトルの熱気を伝える最適の人です。 韓国からは「唯一のたたかう自主的な農民組織」である全国農民会総聯盟の鄭光勲議長が参加します。韓国はWTOとIMF(国際通貨基金)の干渉政策のもとで、日本以上に農業危機が進行しており、WTO協定改定は差し迫った要求。日本の農民・消費者との共同を求める鄭氏の訴えは新たな感動を呼ぶでしょう。 日本からは、環境保全に心をくだく林業を営んでいる速水亨氏(三重・速水林業代表)と、農民運動全国連合会の小林節夫代表常任委員が参加します。 多彩なパネリストの報告とフロアからの発言で明らかにされるものそれは(1)「日本は孤立している。WTO協定改定など絵空事だ」という日本の農民・消費者のあきらめを誘導する議論の間違いを明らかにすること、(2)WTO協定改定、「WTOから農業・食糧をはずせ」という要求こそが世界の流れであることを確かめあうこと、(3)アメリカに屈従し、世界の経済と農業を破滅に追いやっている日本から、WTO改定の声を発信し、非同盟諸国、発展途上国との共同を大いに探究することです。 農民連は十一月にアメリカの全米家族農業者連合と会談し、国境を越えた連帯と共同を行うことで一致しました。その際、私たちの胸を打ったのは「ここには覇権主義のアメリカとは違う『もう一つのアメリカ』がある」という熱い思いでした。同様に、このシンポジウムは「アメリカの覇権主義に追随する日本とは違う『もう一つの日本』がある」ことを大いにアピールする機会になるでしょう。 シンポジウムの会場、早稲田大学国際会議場の定員は四百五十人。早めに申し込み、シンポを大成功させましょう。
(新聞「農民」2000.1.24/31付)
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[2000年1月]
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