「農民」記事データベース20000131-435-01

全都道府県から史上最多の参加者

農民連第12回大会開く/新しい変化と飛躍に確信もって

21世紀へ向け力強い歩み開始

 「シアトルでのWTO閣僚会議決裂、市場流通の新たな展開、ことしは何か新しい転換が起こると実感した」と報告した山形の青山さん。

 「元気を充電した。歴史を変える農民として、自分の生きざまに誇りが持てるような活動をしたい」と、大会を終えた翌日には農協の幹部と懇談、読者を増やした鹿児島の真戸原さん。

 「農民連に加えてもらって、本当によかった。豊かな心をもらった。堅ぶつの夫が柔らかくなった」と、福島弁丸出しの元気な報告で会場をわかした小林キヨさん。

 新しい千年紀の幕開け初頭に開かれた農民連第十二回大会(十二日〜十四日、東京・豊島公会堂)。きびしい農業・農村情勢のなかにも新しい変化と飛躍への胎動を実感させ、全国各地で活動してきた参加者たちのドラマに満ちた笑いと涙、感動の大会でした。(関連記事2〜7面)


 とくに今年の大会は、新聞「農民」を先行させた組織作り運動で、十一県が自ら決めた拡大目標をやりきり、四十五都道府県が増勢で迎えました。また四年間にわたって総会も開けなかった鳥取県では「農民が苦悩している時、これでよいのか」と深刻な討論をおこない、正月七日には総会を開いて新役員を選出、読者倍加の方針をもって代表が参加しました。米軍基地反対闘争の先頭に立っている沖縄県からは九人が参加するなど全国すべての都道府県からこれまで最高の四百三十人を超える代議員、評議員が参加。全国が一丸となって二十一世紀へ向け、広範な仲間とともにWTO協定改定、農業と農山村の復権をめざす新たな活動を開始しました。

 大会では、小林節夫代表常任委員が開会の挨拶で、今後の展望について、正月のテレビで放映された時代劇『蒼天の夢』を例に、「狂気の沙汰」と言われた高杉晋作らの情熱と行動が天下を動かしたように、大志をもって危機を打開し、政治を変えようと訴えました。

 また大会報告をおこなった谷口一夫事務局長は、昨年のたたかいで切り開いた情勢の特徴と今年の運動の基本と重点について報告。この中で、米の投げ売り問題をめぐる農民の怒りの高まりと矛盾の激化、WTO閣僚会議の決裂、ものをつくる運動と市場との共同の広がりなどを上げ、「たたかえば驚くほど早く共感が広がり、変化が起こる。世界の流れに確信を持ち、二十一世紀の食糧と農業の展望を切り開くために、運動と組織の飛躍をめざそう」と提起しました。

 WTO問題の特別報告を行った真嶋良孝事務局次長は、閣僚会議を破綻に追い込んだ途上国とNGOの二つの力と背景について述べ、国際シンポを成功させ、日本と世界の「WTOノー」の潮流と力を合わせようと呼びかけました。


生産点に根ざした多様な産直生きいき

 討論では「決めた方針は必ずやり切るため県連役員の徹底した討論と、安易な妥協をしない実践」で、自主目標を達成した秋田県連をはじめ新潟、石川、京都、宮崎、山形・田川など、どこでも「足を踏み出せば視野が広がり、前進できる」という新聞「農民」の拡大の取り組みが報告されました。

 ものを大いに作り、確実に売りつくすため市場や卸、米屋さんなど新たな共同を広げている東北・北海道や茨城の産直ネットの活動。大豆畑トラストで広範な消費者や食品加工業者と提携し「豆腐つくり講習会を大阪で六十四カ所ひらき、湯どうふ班会を開いている」石川や茨城・県南などの取り組み。沖縄のパイン、高知の文旦の産直、山形・田川のだだちゃ豆の市場出荷、長野・上伊那の白毛餅栽培と産直、岩手の直売所活動などなど生産点に根ざし、創意に満ちた多様なとりくみが生き生きと語られました。

 大会は「大阪府知事選、京都市長選に勝利し、政治確信の道を総選挙で切り開こう」との特別決議(6面)を採択、新役員を選出して終了しました。

(新聞「農民」2000.1.24/31付)
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2000年1月

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