関税下げで日米“密約”の危険
ミニマム・アクセス数量米政府、年次報告で「圧力」
日本政府が青くなったり赤くなったりして、国会で関税化強行の言い訳をしていた三月十日、クリントン大統領は、日本の米関税化に強い「懸念」を表明した「通商年次報告」を議会に提出しました。
「報告」は(1)関税の計算方法に文句をつけたほか、(2)アメリカが半分を占めているミニマム・アクセス米の増加が抑えられる、(3)関税化の決定が早すぎて日米間で議論する時間がなかったことに「深刻な」不満を表明。「日本が今後も米市場を開放し、WTOの義務を果たすよう、九九年も日本に対して圧力をかけ続ける」と結んでいます。
日本の米関税化通報に対して、アメリカがWTOに異議申し立てをするかどうかは明記しておらず、アメリカ大使館も「ノーコメント」としており、最終的にどうなるかは不明です。
もともと関税化移行は、アメリカとWTOを“タブー”視する自民党政府が、交渉もせずに白旗をかかげたものです。かりにアメリカが異議申し立てをすれば、関税化強行は吹き飛んでしまうことになり、自民党政府は、“主にかみつかれた飼い犬”のようなもの。
逆に、アメリカが異議申し立てをせずに日本に恩を売り、「九九年も圧力をかけ続ける」場合は、ミニマム・アクセス数量の増加や「高関税」の引き下げなどを従来にもまして強要してくることは必至で、日米間でなんらかの“密約”が成立することさえ予想されます。
(新聞「農民」1999.3.22付)
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