子どもが食べるお菓子から
グリホサートの残留を検出
農民連食品分析センター調査
国産小麦使用を広め自給率向上を
農民連食品分析センターはこれまでの調査で、輸入小麦を使用したパンやパスタなどの製品から除草剤グリホサート(ラウンドアップ等の製品の主成分)の残留が検出されることを明らかにしてきました。
今回、分析センターは子どもたちも食べるお菓子の残留を調べるため、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンと共同でグリホサートの残留試験を行いました。
市販のお菓子で小麦原料9製品、大豆原料6製品、トウモロコシ主原料が1製品、ジャガイモ主原料が3製品、グミとジュースが1製品の計21製品を検査しました。
検査結果は表の通りです。小麦製品は9製品全てで、大豆製品4製品、ジュースからもグリホサートの検出がありました。今回検査した小麦製品はすべて原産国表記がありませんでした(国内製造は国内で加工されたもので原料の産地は不明です)。
分析センターの八田純人所長は結果を受けて、次のように指摘します。
「輸入小麦などからグリホサートが検出されることが多いのは、収穫直前に除草剤を散布する収穫前散布(プレハーベスト処理)が認められているからです。小麦製品は原産国表記がありませんでしたが、残留があったことからも輸入小麦が原料であると思われます。また胚芽(はいが)を含む製品の検出量が多くなっています。全粒粉など外皮に近い部分はグリホサートがかかった部分が多くなり、残留しやすくなっていると考えられます」
また北海道産大豆を使用した製品から検出されなかったことについては「大豆については国内でもプレハーベスト処理が認められていますが、北海道では2020年にホクレン(ホクレン農業協同組合連合会)が消費者の要望を受けて収穫前散布を行った大豆を取り扱わないことを決めました。このことが影響していると考えられます」とみています。
今回の試験では、ジュースからも検出がありました。以前の分析センターの調査で、ワインからもグリホサートが検出されることが分かっています。「果樹栽培では園地管理に使用したグリホサートの飛散によって残留していると推察されます」
八田所長は「国産小麦からグリホサートは検出されません。子どもに心配な成分を食べさせずにすむように、また小麦自給率を高めるためにも、国産小麦を積極的に使用するメーカーを選んだり、原材料を国産に変えるリクエストをメーカーに届けるようにしたいものです。残留の背景には、行き過ぎた経済性の追求を生産者に押しつける食料生産があるように思います。安全性に目を向けた持続可能な生産へ変革する取り組みと政策が求められます」と話していました。
お菓子から…大ショック
結果知らせ現状変えるきっかけに
食べもの変えたいママプロジェクト 篠崎亜紀子さん=川崎市在住 母親なら一度は子どもに食べさせたことがあるようなお菓子から、グリホサートが検出されてしまったことは、大変ショックだし、残念です。どんなに気を付けていても、子どもが大きくなり活動範囲が広がるにつれて、こういったおやつを避けて生活をすることができないのが現状です。
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お菓子から除草剤が検出されました |
でも、私たち母親にとってショックなものだからこそ、この調査結果をお友だちにお伝えして、買い物のときに考えるきっかけにしてもらいたいと思いました。
おかしの原料となる輸入小麦から農薬が検出されること。日本はそんな輸入小麦に頼り切っていること。そのことをもっと私たちが知ることが、現状を変えるキーだと感じています。知ったママから動き始めています。
その手助けをしてくれている農民連さんにはとても感謝していますし、今後の調査活動にも期待を込めて注目しております。
(新聞「農民」2022.8.29付)
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