米屋さんと生産者をつなぐ交流会 東京
力を合わせ農業・食糧政策の転換を
農民連ふるさとネットワークは8月21日、東京都文京区の文京区民センターで、「米屋さんと生産者をつなぐ交流会」(東京会場)を開き、米屋さん、卸売業者、生産者・産直組織などから110人余りが参加しました。
安倍農政では、生産者も 流通業者も経営守れない
地域の貢献度強い米屋さん
ふるさとネットの根本敬代表が主催者あいさつ。今年度の方針として、農や食についての社会的課題の解決に取り組むことをあげ、貧困が原因で3食満足に食べられない子どもの問題を解決する「子ども食堂」などに取り組むことを提起し、「地域への貢献度が強い米屋さんと一緒に取り組めば、米をアピールするうえでも大きな意義がある」と強調。「食料は命の絆。安定供給をめざして腰を据えてがんばる」と決意を表明しました。
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報告する根本代表 |
来賓あいさつとして、東京都米穀小売商業組合文京支部長の松本克己さん(曙町販売所)が、インターネット販売の普及などで米小売店が厳しい状況にあることを述べたうえで、地元の祭りに参加するなどして、地域に貢献する米屋の役割を語りました。
東京山手食糧販売協同組合理事の矢島徹・米穀部長は、「米穀店などを取り巻く環境にいい風は吹いていない。2018年の減反廃止などに対応して卸業者も変革を余儀なくされる」としたうえで、「みなさんの話をよく聞き、今後の事業活動に生かしていきたい」と語りました。
所得補償・価格保障の実施を
ふるさとネットの湯川喜朗事務局長が米情勢と農民連の取り組み方針について報告。「私たちもお米屋さんの求める品種、銘柄の作付け転換なども必要と考えている。一方で、農業構造の深刻な状況をみてほしい。農業経営体数、経営耕地面積、農業労働力の減少率と高齢化など、日本農業が縮小再編成過程に入った。法人化や規模拡大では農地守れない状況にある」と指摘しました。
さらに、「2018年以降、生産と流通のそれぞれの努力だけで米作りを守ることができないし、ともに経営安定にはつながらない。せめてアメリカ、EU(欧州連合)では実施されている所得補償・価格保障政策の実施、生産と消費のバランスをとるための公共政策としての需給調整の実施、実効のある消費拡大対策の取り組みなど、お米屋さんとともに農業・食糧政策の転換をめざす共同も進めながら、消費者に安全で納得してもらえる米作り、農地を守り、地域を守る米作りをめざしたい」と述べました。
お米の試食や加工品の展示も
産地からの報告では、各ブロック、県ごとに作柄状況や取り組みの特徴などの報告がありました。
「例年より生育が早く、稲刈りも早まりそう」「ここまで順調だが、台風の被害が心配」などの報告がありました。
その後、参加者は、名刺交換をしながら、熱心に意見交換や交流する姿がみられました。米の試食や防災・保存食品、加工品などの展示に見入っていました。
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試食などしながら交流しました |
全国米穀店経営研究会の幹事長を務める小島晃さん(川崎市・小島米店)は、スーパー、コンビニ、ドラッグストア、インターネットなど販売が多様化している現状を示し、さらに飼料用米への転換による業務用米の不足を指摘し、需要にあった米づくりの必要性を訴えました。
閉会あいさつを農民連の白石淳一会長が行い、米の需給と価格の安定への責任を放棄して、農家の努力に水を差す安倍政権を批判。「秋の臨時国会でTPP批准阻止へ力を合わせたい」と語り、「10数年米屋さんと培ってきた絆を大事にし、日本の米を守る運動で力を合わせましょう」と呼びかけました。
生産者に会えるいい機会と参加
さいたま市浦和区から父親と参加した廣岡耕平さん(30)(米工房ひろおか)の話
今年の4月から店に入りました。米屋のことも生産者のことも、まだまだ知らないことばかり。生産者に会えるよい機会ということで参加しました。
生産者と米屋両方の現状の厳しさが痛いほどに伝わってきました。また、展示されていた新潟の新品種の「新之助」が印象に残りました。来年もぜひ参加したいと思います。
(新聞「農民」2016.9.5付)
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