「農民」記事データベース20150209-1152-01

実のある米価対策要求と仲間づくりで<

安倍農政ストップを!!


 米価下落が依然として続いています。農水省が公表した12月の2014年産米相対取引価格(速報)は全銘柄平均で1万2142円(運賃・包装・消費税含む)で、消費税や経費を除けば9000円台。産地によりますがJA概算金との差は数百円程度とみられます。西川農水相が豪語する「3500円」の追加払いなどは“夢物語”にすぎません。

 世論動かした農民連の米価要求運動

 農民連は13年産米の価格下落がはじまった昨年春以降、全国各地で米価対策を求める運動を進め、14年産米の大暴落という事態の中で、繰り返し農水省交渉や、中央・地方での要請行動で米価対策を求める運動を展開してきました。地方議会への請願運動も大きく広がり、自治体首長などが政府・農水省へ要請を行うなど、米価下落対策を求める運動が政府を追い詰めてきました。昨年末、安倍政権は衆議院解散に追い込まれましたが、米価暴落対策を求める運動の広がりもその一因となりました。

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福島県北農民連のトラクターデモ。地方の運動が世論を動かしました=2014年5月26日

 米価回復は政府がその気になれば可能

 農水省は、米価対策要求を無視できず、「平成26年産米への対応」で、一年間限りの無利子融資、15年産での飼料用米のとりくみ推進などを打ち出しましたが、14年産米の価格下落対策は一切ありませんでした。今審議されているアベノミクス農政推進の14年度補正予算、15年度予算案にも、即効性のある米価下落対策は見当たりません。

 そのなかで、米対策として「米穀周年供給・需要拡大支援事業50億円」(売り急ぎ防止対策)、15年産でのナラシへの参加を促すための「収入減少影響緩和対策移行円滑化対策385億円」、14年度補正予算での「稲作農業の体質強化緊急対策200億円」などを打ち出しています。しかし、どれも後追いにすぎず、米価下落に歯止めをかける効果のない予算ばかりです。

 この予算の合計は635億円になり、1俵1万2000円で約32万トンの買い入れが可能な金額に相当します。政府がその気になれば「備蓄米買い入れ」など即効性のある対策は財源的にも可能で、その無策ぶりを際立たせています。

 「稲作農業の体質強化緊急対策」は、補正予算のため、1月30日が締め切りです。2〜4%のコスト低減につながるとするメニューを農水省が設定し、「15年産米の取り組みに助成」となっていますが、すでに多くの生産者が取り組んでいるものも多く、前年同様に取り組んだ場合は、助成の対象外となり、効果も目的も疑問です。

 MA拡大は論外 仲間づくりと運動結んで

 1月28日から始まったTPP日米事務レベル協議で、MA(ミニマムアクセス)米の枠外でアメリカ産米の輸入を5万トン以上増やすなどと報道されています。さらに米の過剰に拍車をかけるもので断じて許されません。

 総選挙の結果は自・公政権の継続という結果になりましたが、米価対策を要求して選挙をたたかった日本共産党が議案提案権を持つ21議席に大躍進し、空白だった衆院農水委員会に2人の議員が配置されました。このような政治的変化により、すでに行政機関や農業関係団体などの対応の変化が生まれています。この政治的な流れも生かして、米価対策を要求する運動の発展が求められています。「春の大運動」と結んで、「米価下落対策を求める請願署名」、「TPP交渉に関する請願」などでの対話活動を旺盛に広げましょう。

(新聞「農民」2015.2.9付)
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2015年2月

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