激減!交配用ミツバチ
寄生ダニの発生、農薬使用、地球温暖化が影響?
原因究明と安定供給へ
緊急に求められる対策
いま、花粉交配用のセイヨウミツバチが激減しています。農水省の調査では、前年に比べ14%も減っているとのこと。原因は、寄生ダニの発生や農薬の使用、地球温暖化などいろいろ取りざたされていますが、はっきりしていません。
セイヨウミツバチは、イチゴやスイカ、果樹などの花粉交配には欠かせません。このため、緊急に全国的な需給状況の実態調査を行った結果、21の都県で不足していることが判明。当面、農水省主導で需給調整を行うことにしていますが、不足を補うことはむずかしく、さらにミツバチの値段も高騰していることから、農家からは「手作業で一つひとつ受粉しなければならないのか」「別なハチで交配できないのか」など、不安の声があがっています。ミツバチ激減の原因究明と、農家への安定供給に向けた緊急対策が求められています。
50箱から15箱に減った――
静岡・浜松市養蜂家 内山賢治さん
農家の要請に十分こたえられず残念
昨年11月に新日本婦人の会と農民連静岡県連が開いた「産直フェスタ」が縁となって、農民連の会員になった浜松市の養蜂家、内山賢治さん(56)に聞きました。
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私の場合、これまで50箱くらい(1箱に1匹の女王蜂と1万〜数万匹の働き蜂)持っていましたが、いまでは15箱に減ってしまいました。養蜂を始めて20年以上になりますが、こんなことははじめてです。農家からの要請にも十分こたえられず、残念です。いま、日本のミツバチが本当に元気なのか。ぜひ、ミツバチが減っている原因を究明してほしい。
ミカンなど蜜源の農地守ってほしい
お互いの信頼もっと太く
農家は、農協や養蜂業者からミツバチを買ったり借りたりして花粉交配していますが、1回限りの“使い捨て”という状況も見られます。私たち養蜂家からみれば、もっと大事に扱ってほしい。また、セイヨウミツバチの代わりにマルハナバチなどを使用する農家もいますが、生態系にどう影響が及ぶのか心配です。
一方、蜜源となっているレンゲやミカンなどの畑が、宅地や工場になって姿を消しています。また東名高速道路のような建造物ができると、ミツバチの通り道が遮断されてしまうことになり、養蜂家の経営をおびやかしています。国内のハチミツ生産量は2800トン余りで、4万1700トン近くを中国などから輸入しています。ハチミツは本当の健康食品。国産のハチミツを砂糖のようにふだんの料理にもぜひ使ってほしい。
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内山さん夫妻 |
農家のみなさんには、農業を続けてもらい農地を守ってもらうことが、私たち養蜂家にとってもたいへん大事なことです。ミツバチを花粉交配に使う農家と近隣の養蜂家が交流して、お互いの信頼をもっと太くしていけたらと思っています。
(新聞「農民」2009.4.27付)
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