「農民」記事データベース20090427-874-06

多収穫・高品質めざす“有気農業”

岩手県農民連女性部ものづくり学習会

関連/婦団連「レポート」発表

 岩手県農民連女性部は3月29日、花巻市で第2回ものづくり学習会を開き、会員以外の人も含め25人が参加しました。講師は、秋田県農民連の会員で元農業改良普及員の猪股義補さん。猪股さんはいま、「有気農法」という新しいやり方で多収穫・高品質の野菜や米を作っています。猪股さんの話はかなりハイレベルな内容でしたが、とても多くのことを学ぶことができました。その内容を紹介します。


 元農業改良普及員猪股義補さんの講演

画像 アメリカでは農薬を散布するとき防毒マスクをして作業をします。そういうものを“食料”と呼べるのでしょうか。

 いま、政府が国会に提出している「農地法改正案」は、大企業や外資系企業にも農地取得の道を開くもので、そうなれば農薬漬けの農産物が出回り、農家もたいへんですが消費者にとっても命にかかわることで、絶対に許してはいけません。

 私が作る多収穫とは、大豆なら1本からサヤで500個、トウモロコシなら650グラムの大きさで糖度が1・7以上などです。“有気”とは生命力のことで、活性剤を使用し大量の水と大量の肥料を与えて育てる農法です。ずっと肥料をやり続けたイチゴは、どのランナーでも翌年また使えます。活性されている木は、たわわに実がついても折れません。トマトも成育中は実割れしません。

 安全な農産物を作るうえで注意すべき点は、残留農薬や環境ホルモン、遺伝子組み換え作物などばかりではありません。窒素肥料による硝酸塩はがんを誘発するなど、人体に有害な物質で、野菜に硝酸塩が残留しないような栽培をしなければなりません。私が使用している活性剤は、多収穫・高品質のほかに硝酸塩がまったく残りません。

(岩手県農民連 久保田みき子)


婦団連「レポート」発表

女性差別撤廃条約30周年

新自由主義的政策やめ
女性の地位向上へ

画像 今年は「女性差別撤廃条約」採択の30周年。7月には、日本での同条約の実施状況を日本政府がまとめた第6回「報告書」が、国連女性差別撤廃委員会で審査されます。

 前回の第5回報告書が審査されたのは2003年。日本政府は、22項目にわたる非常に厳しい内容の改善勧告(要請・懸念を含む)を受けました。

 では2003年以降、日本の女性が置かれた状況は改善したのか――。農民連女性部が団体加盟する日本婦人団体連合会(婦団連)は、女性差別解消の状況や、政府の施策への見解を明らかにし、国連女性差別撤廃委員会に伝えるため、「婦団連レポート」の作成に取り組んできました。この婦団連レポートが、4月16日、発表されました。

 堀江ゆり会長は、「2003年以降、経済状況の悪化と社会保障制度の大改悪により、国民の貧困と格差が社会問題化した。女性はその影響が特に強い」と指摘。「女性の地位向上と権利の拡充には、大企業最優先、社会保障切り捨ての新自由主義的政策を改めることが必要」と訴えました。

 婦団連レポートは、「女性に対する暴力」「雇用における差別」「安心して妊娠・出産できる権利」「女性の貧困、社会保障」など各分野ごとに10項目にわたって分析。

 農民連女性部が担当した「農山漁村女性に対する差別」の章では、「WTO協定のもと、農業就業人口は激減し、女性農業者は半減している」「(政府は)家族経営協定を促進しているが、実態は協定で報酬や休日を決めても経営難のために実行できず、締結は進んでいない」と述べています。

 また、農業や中小業者の家族従業員の働き分が、所得税法56条によって必要経費と認められていないという問題も、分析・指摘されています。

(新聞「農民」2009.4.27付)
ライン

2009年4月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2009, 農民運動全国連合会