米トレーサビリティー法案汚染米事件と国民の声に押されて
政府はいまの国会に、米関連3法案(注)を提出し、衆議院では全会一致で可決。参議院に送られ成立する見通しです。このうち、米トレーサビリティー法案(米穀等の取引等に係る情報及び産地情報の伝達に関する法律案)は、三笠フーズなどの汚染輸入米の不正流通事件で、きびしい世論の批判を浴びた農水省が打ち出した対策を法制化するものです。
「取引の記録保存」
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MA米の目視監査をする大阪・堺の政府倉庫(2月12日) |
すでにMA米を購入した業者名の公表も実現しました。この法案が、消費者に商品選択の機会を保障できるよう実効あるものにするため、さらに運動を広げることが求められています。
内閣府の「事故米穀の不正規流通問題に関する有識者会議」は3月31日、政府に「取りまとめ」を提出。そのなかで「酒類を米トレーサビリティー法案の対象になるよう検討すべき」と提言しています。
猛毒アフラトキシン 昨年12月3日に、食品加工現場でミニマムアクセス(MA)米から検出された猛毒のカビ毒アフラトキシン。4月3日、農水省は再び0・8PPMのアフラトキシンが検出されたと発表しました。07年4月に2002トン輸入されたタイ産もち米からで、その67%はすでに市場に流れてしまっています。
農水省は30億円もの血税をつぎ込み、日本中の倉庫で、すべてのMA米の袋をあけてカビの検査するという異常な作業を続けています。その結果、通常の10倍近いカビ状異物が見つかっています。農水省は「カビ毒の検査をして出荷するから安全」としていますが、一方では購入業者に、1カ月以内の消化や「カビがみつかったら使用中止」などの条件付きで売り渡しており、いつ汚染米が国民の口に入ってもおかしくない状況です。
―半分近くはアメリカからの輸入です― |
いくら管理や検査を強化しても安全が確保できないMA米。輸入をやめる以外に解決はできません。
加工業者の間では、安全を求める消費者の要求を背景に、MA米を敬遠し、国産米を使用する動きがひろがっています。
西酒造は、より安全な原料を調達するために、「芋と同じように米も契約栽培で確保する計画で、いま地元農家と交渉を進めています」(有馬健晃工場長)と言います。
(注)米関連3法案とは、米トレーサビリティー法案のほかに、食糧法改正案―主食以外に用途(加工用、飼料用など)を限定された米の管理規定の整備と罰則の強化をはかるもの。米穀の新用途への利用の促進に関する法律案―米粉・エサ米等に取り組む生産者と加工業者による連携事業計画の作成と認定を条件に、融資や債務保証などの支援措置を講ずるもの。
[2009年4月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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