日韓FTAが合意されると―FTA推進に狂奔する日韓両政府
韓国政府も日本政府と同様、表に見るように、FTA(自由貿易協定)の推進に狂奔しています。3月24日には、EU(欧州連合)とのFTA交渉で“暫定合意した”と報じられました。マスコミは、いっせいに「日本も乗り遅れるな」と論じ、FTA推進をあおり立てています。
大損害を受ける韓国の輸出産業こうしたなか、2003年12月にスタートした日韓FTAの交渉は、04年11月以降、中断したままです。その理由について、日韓FTA共同研究会メンバーであった東大教授の鈴木宣弘氏は、次のように語っています。「表面的には農業問題が原因と言われているが、最も深刻な問題は(工業の分野)に関連している。韓国側は、(FTAで日本から)部品・素材の輸入が増えれば、韓国の産業に被害が出るとともに、対日貿易赤字が拡大することを懸念している」。どういうことかというと、対日貿易赤字の主な原因は、韓国を代表する輸出産業である自動車、電子機器の高級部品を日本から輸入し、それを組み立てて輸出するという産業構造そのものにあります。つまり、韓国の自動車や電子機器などの輸出が増えれば増えるほど、日本からの部品・素材輸入が増えることになるからです。 しかも、工業製品の関税は、日本がほぼゼロに対して、韓国は8%前後の関税をかけており、もし日韓のFTA交渉が合意すれば、韓国の輸出産業は大打撃を受けることになります。このことは、経済産業省も「鉱工業製品の関税削減で効果が期待される」と宣伝しています。
農産物輸入増で日本農業が打撃現在、韓国から日本へ輸出されている主な農産物は、パプリカ、シシトウ、トマトなどの野菜やリンゴ、栗などの果 実、それに水産物です。韓国での生産コストは日本のほぼ半分と言われており、もしFTAが合意されれば、韓国からの輸入が増えることは必至です。これまでも、日本の野菜の規格表が韓国の出荷施設に張り出され、日本の規格と同じものが輸入され、日本の野菜産地の価格が暴落したという苦い経験があります。さらに、日本・中国・韓国の政府系研究機関が、2001年から日中韓FTAの共同研究を進めていますが、昨年「政府間の交渉に入るべきだ」との結論を出しました。かりに日中韓FTAが締結されれば、日本と韓国の農業と農民は、日韓FTAにくらべてはるかに大きな被害を受けるでしょう。
農民連も韓国農民と連帯し反対農業に適した気候条件にある日本と韓国が、食糧主権を確立し、農業をしっかりと維持・発展させ、異常に低い食料自給率を向上させることは、新自由主義に対抗する“もう一つの世界”を作り上げていく上で、重要な貢献となるものです。いま韓国の農民は、全国農民会総聯盟・韓国女性農民連合を先頭に、果敢にFTAとたたかっています。農民連も、韓国の仲間と連帯して、さらにWTO、FTA反対のたたかいを強化しましょう。
GMナタネ自生調査 参加者を募集します農民連食品分析センター 遺伝子組換えナタネ調査隊農民連食品分析センターの「遺伝子組換えナタネ調査隊」は、一般 の方を対象に、今年も遺伝子組み換え(GM)ナタネ自生調査への参加を募集します。外国からナタネを99%輸入している日本。輸入品の多くは、特定の除草剤をまいても枯れないようにできている遺伝子組み換えです。その遺伝子組み換えナタネの種子が、日本に輸入される際にこぼれ落ち、港周辺をはじめ、港から離れた地域にも生えてきています。あなたの住んでいる地域のナタネは大丈夫でしょうか? 遺伝子組み換えでない国産のナタネを守り、ナタネの自給率を高めるためにも、一緒に調査に参加してみませんか? 2008年は港周辺を中心に全国で調べた結果、48の遺伝子組み換えナタネが見つかりました。 また1次検査で陰性だったものでも2次検査では陽性になるなど、交雑種とみられるものも増える傾向にあります。 参加希望者は、氏名、住所、電話番号、あればメールアドレスを記入して、農民連食品分析センターまでお知らせください。電話、ファクス、郵便またはメールで受け付けています。 一回分の検査キットは1200円になります。振り込み確認後、検査キット、検査マニュアルを送ります。振込手数料はご負担ください。申込期間は6月上旬まで。
申込・問い合わせ先 (新聞「農民」2009.4.6付)
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[2009年4月]
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