生きる勇気と感動与える
横浜で開催 安西美佐子さんの絵手紙展
「一枚の絵手紙が人を励まし、明日へのパワーを与える」―。リウマチのため筆を持つのもやっとの手で絵手紙を描き続ける安西美佐子さん(65)=横浜市泉区=の絵手紙展が九月五日から九日まで、横浜市泉区文化センター・テアトルフォンテギャラリーで開かれました。期間中、六百三十人が、展示された約七百五十点余りを鑑賞し、感動を胸に刻んでいました。
安西さんは現在、自力での歩行は困難。両手指の関節は変形し、車イスの生活を送っています。安西さんが絵手紙を始めたのは九年前。夫の肇さん(67)=養豚農家、神奈川農民連会長=ががんで入院したとき、安西さん自身がお見舞いに行けないことから、家族の近況など外の様子を絵手紙で伝えたのがきっかけでした。以来、入院した知人・友人たちが退院するまで、励ましの絵手紙を送り、脳こうそくの人には百二十七枚送りました。
今回の展覧会は、安西さんの友人ら七人の実行委員が相談しあいながら準備を進めてきました。家族のほか安西さんから手紙を受け取った人からも提供してもらい、企画から展示まで手作りです。
実行委員の一人、後藤マス子さんは「不自由ながら、自分で書き、励ましの手紙を送り続けてきた美佐子さんの気持ちに心を打たれました。一枚が人と人とをつなぐ絵手紙のすばらしさを感じとってほしい」と語ります。
実際に安西さんから絵手紙をもらったことがある久保田和子さんも実行委員の一人。「手紙を受け取ると、その日一日が穏やかな気持ちになります。これがきっかけで私も絵手紙を始めました」
地元ケーブルテレビも取り上げるほどの盛況ぶり。鑑賞した人からは「絵のすばらしさだけでなく、障害を乗り越えて美佐子さんが元気、勇気を相手に与える手紙文にも大いに感動しました」などの感想が多数寄せられました。
安西さんは、入院した病院の受付と薬局の窓口に、毎月、季節の便りの絵を送り、患者さんたちの心を和ませています。また病院のリーフレットの挿絵も描いています。
「一枚の絵手紙が心を動かし、大きな友情となり、平和につながることができれば、こんな喜ばしいことはありません。少しでもみなさんの力添えができればうれしいです」。安西さんの激励の日々は続きます。
(新聞「農民」2007.9.24付)
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