「農民」記事データベース20070917-796-06

中国に米輸出〈下〉

“はしゃぎすぎは禁物”


商社などの暴利に批判も

 中国内での販売なんと二倍以上

 日本産米の中国輸出は、害虫の検疫問題で〇三年に停止しました。もとをただせば、農民連食品分析センターが暴いた中国産冷凍ホウレン草の残留農薬違反によって輸入禁止措置となったことへの報復措置でした。そしていま、中国産の食料の安全性が世界的に問題になり、規制が強化されようとしているこの時期に、中国は日本産米の輸出解禁をてこに、食品安全をめぐる交渉を有利に展開するねらいがあるのではないか、日本への農産物輸入のいっそうの増加を求めてくるのではないか、「はしゃぎ過ぎは禁物だ」(東京中日新聞の社説)といった指摘もされています。

 また、新潟産コシヒカリの国内販売価格は、せいぜいキロ当たり四百五十円程度。二キロでも九百円なら、中国での販売価格はなんと三倍以上。運賃や関税(およそ一四%)、手数料(一%程度)その他の経費がかかったとしても、なぜこんなに高いのか。流通過程は、JA全農から中国の食料商社コフコ、米卸を手がける伊藤忠中国団、そして小売りへ。商社などが手にする「中間マージン」の高さに、批判の声が出ています。

 国内は低価格で経営悪化なのに

 宮城ひとめぼれの農家手取りは一俵一万二千円、キロ当たりわずか二百円です。宮城ひとめぼれを八ヘクタールほど作っている黒沢稔さん(宮城・産直センター代表)は、「いま、規模の大きな米づくり農家ほど、米価下落で経営が立ち行かなくなっている。なにが米輸出だ。“バカにするな”と言いたい」と話しています。

 また最近、中国の米事情を視察した日本米穀小売商業組合連合会の長谷部喜通会長は、八月十九日の米屋さんと生産者をつなぐ交流会で「精米工場を視察して中国産の“きらら三九七”を食べたが、十年前に比べてとてもおいしかった。これがキロ百円以下の値段です。いくら富裕層が相手だからといって、日本の米輸出にはあまり期待できない」と話しています。

(おわり)

(新聞「農民」2007.9.17付)
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2007年9月

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